第5話 代々木の乱闘

北澤 神太「思いっきりぶちかましてやる!!」

まずは相手のタックルを躱し、すぐさま後頭部に拳を炸裂しようとしたが、相手も膝を曲げて躱してきた。取り巻きの連中は一切動じることなく、俺と北澤のサシでの勝負になった。

北澤 神太「いい身のこなしだ!楽しませてくれよ..!」

狂犬はとにかくパワーが凄まじいらしい。しかし今の動き方を見るに、急所以外にはかなり隙がある様子だ。またもや体格が上の相手だが(しかも格も上)慎重に対応すれば、勝機が見えるはず...!

乱暴な動きの中に隙を探す。そして...

白神 恋「(見えた...!)」

脛を狙い、蹴りを入れた...が、両手で弾かれる。そもそもここまで対応出来るなら、 弾かれなくても避けられてたかもしれない。結局ここでも体格の差がでてしまう。

北澤 神太「くそっ...すばしっこい奴め。」

だが、相手にも疲れが見え始めている。流石の狂犬も、平和の中では体が訛ってしまうのか。

北澤 神太「舐めやがって...あれを持ってこい。貴様に「歌舞伎町の狂犬」の本当の恐ろしさを思い知らせないと気がすまなくなった。」

あれ...?何持ってくる気だ。まさか武器じゃないだろうな。すると、取り巻きが何やら布で巻いた長柄の物を取り出してきた。

北澤 神太「その頭をかち割ってやる...」

ただの金属バットらしかった。って、またもや武器相手...無粋だと思わないのか。

北澤 神太「どうせ死なないんだろ?喰らえ!」

思い切り振り上げて向かってくる。何とか避けるが、これでは相手の間合いに入れない。

白神 恋「慶、好、何でもいいから細長くて硬い物を持ってきてくれ。」

乳頭 慶「え、ええ!?」

玉川 好 「わ、わかった!」

それでもバットは俺を追いかけてくる。

白神 恋「(そうだ...!あのバットを...!)」

武装解除してしまえばいい。そして俺のものにする。その為には、「テクニシャンスタイル」で対応するしかない。

相手がバットをスイングする。それに合わせて空に逃げ、そして...その手に蹴りを入れる。的中

、しかし硬い。相手が怯んだ隙にその手を掴むも、すぐに振りほどかれスイング。左の腕で対応したが、凄まじい痛みを伴った。

北澤 神太「はぁ...はぁ...いい加減にしろ...」

かなり疲れた様子だ。辞めればいいのにと思う。すると、

乳頭 慶「おい!全然見つからなかったから、これで我慢してくれ!」

どうやら慶が物を持ってきてくれたようだ。しかし、

北澤 神太「させるか!」

北澤からみて俺より向こうにいる慶を目掛けて突進。かなりの隙だ!

白神 恋「こっちこそな!」

急所目掛けて蹴りを入れた。

北澤 神太「ギャフン!!」

狂犬が情けない声を発する。そして...

白神 恋「なんだこれ!ただの木の棒じゃねえか!...重さは十分。持ちにくくも無い。これなら!」

すると、北澤がバットの芯をこちらに向けて突進。それに対し棒を下から受け流し、つばぜり合いの図になった。しかし、武器があれば話は違う。

白神 恋「お前が...誰に喧嘩売ったか...思い知らせてやる。」

お互い後ろに飛び、対立を図になった。そして、

北澤 神太「これで終わりにしてやる!」

高く飛び、バットを振り下ろしてくる。それに軽くいなし、強く手を強打。相手より動きが遥かに速い。

北澤 神太「くそっ...てめえなんだその動きは。」

白神 恋「力だけじゃたどり着けない領域かな。」

再び相手がバットを振り上げる。その隙に、棒を相手の顎に当てて怯ませ、さらにバットを振り上げているその手を突き、ついに武装解除に成功。

北澤 神太「くっ!てめえ!」

語調は強くなっていくが、その体は弱っていく一方だった。

白神 恋「さて...これでトドメだ。」

まずは右胸、そしてひだりむね、臍、急所、そして振り上げるように顎、振り下げるように頭!

北澤 神太「がはっ!ぐはっ!」

相手は膝から倒れ込む。そして...相手の顎を添えるように先を甲状腺の部分を当て、からの...強く突き刺した!

北澤 神太「ぐがぁぁぁぁ!!!」

背中から倒れ、気を失ってしまった。しばらく起き上がれないだろう。


周囲「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

一同は一斉に盛り上がった。中にはすでに帰ってきていた好の姿もあった。

玉川 好「おめでとう!」

純粋に褒めてくれるもの。

乳頭 慶「おかげでスッキリした!」

北澤に嫌気が差していたもの。

???「ありがとう!」

何故か感謝するもの。

???「お前に賭ければ良かった!でもおめでとう!」

どうやら対決の裏でトトカルチョをやっていたらしいものがいた。

佐々木 宗真「な、なんて恐ろしい会社なんだ...」

大阪清涼さん、誤解させてしまって申し訳ございません...。


その後、赤松さんたちが帰ってきたので、経緯を説明した。

赤松 道夫「そうか...そんな事があったのか。」

白神 恋「全く...赤松さん達がいれば。」

南 勇気「すまない。しかし、奴にはいい薬になったんじゃないか?これで当分は大人しくなるだろう。」

赤松 道夫「そうだな。」

白神 恋「...」

何か怪しいな。もしかしてこの状況を狙っていなくなったんじゃないかと思える。まあ個人的な因縁で奴を懲らしめられてスッキリしたが。


本日の任務を全て終えたあと、代々木公園を去ろうとした時、良から着信が来た。

田沢 良「やあ恋、激闘だったな。それにしても、本当にお前は小さい方なんだな。」

白神 恋「だからお前が小さすぎるだけなんだって。それで、もしかして昼に頼んでたやつか?」

田沢 良「ああ、かなり苦戦させられた。なんせ...1日中閉じこもっていたからな。」

白神 恋「そうだったのか...」

田沢 良「今、警察に連絡したところだ。お前も容態を確認してきたらどうだ?場所はSKYSUTAR TOKYOというホテルだ。新歌舞伎町タワーに付属している。」

白神 恋「ああ...うん?」

警察?容態?歌舞伎町?色々な疑問が浮かび上がったが、とりあえず向かってみる。


新宿駅から降りて直行してみると、新歌舞伎町タワーで火災があった様子だった。

白神 恋「一体何があったんだ!?」

周りの野次を押しのけて付近に到着、警察に事情を説明し、通してもらった。

警官「遺体は、すでに救急搬送されました。外傷の後も残っていたようです。」

白神 恋「加害者は殺害した後、すぐに放火したのか?」

警官「それはわかりません。加害者と思われる人物もまだ特定に至っていませんし。」

現場に行ってみると、大量の焼けた紙のようなものが散逸していた。よく見ると、お札だ。しかも1万円札。これが大量に消失したということなのか。

白神 恋「1万円札自体は製造のコストは大したことないけどな...」

警官「身元が特定したようです。やはり「飯野 走」という人物のようです。推定時刻は直近だそうで。」

白神 恋「ということは、殺害直後放火、放火殺人で間違いないということか。」

渋谷といい歌舞伎町といい、一体何が起こっていると言うのだ?
















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