第13話 〇首はどこだ?

 静ちゃん・紗香ちゃんの共同部屋にて、紗香ちゃんの2度にわたるお願いを聴いた俺。やっと彼女にお願いを言う事ができるぞ。



 紗香ちゃんに百合に興味を持ってもらうにしても限度がある。度が過ぎれば彼女はもちろん、姉の静ちゃんも不信を抱いてしまう。


ならで良いはずだが、俺ほどの変態になると何がかわからない…。


「ねぇねぇ。お願いはまだなの?」

紗香ちゃんがしびれを切らしている。


時間がないか。こうなったら…。


「紗香ちゃんは静ちゃんの手を握って、正面から見つめて」


「うん…」


彼女は文句を言わず従った。これは“おまじない”として、最初に光と静ちゃんにやってもらったやつだ。咄嗟に思い出したこれを言うのが精一杯だぞ…。


「ねぇ。お姉ちゃんとにらめっこさせたいの? こんな事させたいんじゃないよね?」


紗香ちゃんの言う通りだが、迷ってるせいで言い出せない。


「てっきり、あたしが触ったところの“触り返し”だと思ったんだけど…」


彼女は俺のと尻を触った。つまり俺が紗香ちゃんの該当部分を触って良いことになるが、それをする気はない。


それをしてしまったら、光を裏切ることになる。天使のような光を傷付けることは絶対にしない! たとえ何があろうとな!


だから男が入らない百合を楽しんでるんだ。なんてことを紗香ちゃんに言えるはずもなく…。


「…触り返しじゃないけど、本当にお願いしても良いんだね?」


「良いよ~」


「それじゃ…、静ちゃんの胸をツンツンしてくれる?」


「りょうか~い」

紗香ちゃんは俺の言葉通り、人差し指1本でツンツンし始める。


「照さん。これは一体…?」

ツンツンされてる静ちゃんは明らかに戸惑っている。


「これは光と仲良くなるおまじないとして、静ちゃんにもやってもらう予定なんだよ。光と仲良くしてくれるのは嬉しいけど、紗香ちゃんとも仲良くして欲しいし」


「そう…ですか」


この言葉に嘘はない。少しずつ体に触る・触られる感覚に慣れてもらう必要がある。百合を楽しむ必須条件だよな。


「紗香ちゃん。胸のいたるところに指を這わせて〇首を探して」


「は~い」


紗香ちゃんの人差し指がめぼしいところを行ったり来たりしている。そして…。


「あっ…」

静ちゃんが少し反応した。


うまく見つけたみたいだな。後は…。


「紗香ちゃん。そこを重点的に責めるんだ」


「わかった。いっくよ~」


俺はブラ越しに指で弾くと思ったんだが、彼女はブラごと〇首をつまみながらクリクリしているみたいだ。しかも両方同時にやるとはポイント高い。


…静ちゃんがそわそわし始めた。これは効いてるな。


「お姉ちゃん、これぐらいも我慢できないの? ださいね~」

小馬鹿にしながら笑みを浮かべる紗香ちゃん。


「…だったら紗香にもやってあげるよ」

ムッとした様子の静ちゃんが仕返しを始める。


「やったな~。あたしもお返し!」


クリクリのスピードが速まったぞ。それに応じて、静ちゃんの責めも速まる。



 姉妹が互いの〇首をブラ越しにいじり続けている。これは間違いなく百合だな。いつまでも見ていられるぞ…。


「お兄ちゃん、楽しめてる?」

隣にいる光が小声で話しかけてきた。


2人の邪魔をさせないように気を遣う光は優しいな~。


「ああ、良いものだよな」


俺と光は兄妹だが異性だ。百合に対する捉え方はまず共有できない。光がBLを観ればわかるかもしれないが、俺がその事実を受け入れられないと思う…。


こうして、俺と光は姉妹の気が済むまで観察するのだった。

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