刀剣が存在しないはずのゲーム世界に俺は自分の体で刀を持って転移した~魔法は使わずに刀だけで俺は最強まで無双しながら成り上がる。って王女様?なんで俺に求婚してるんだ?

にこん

第1話 転移した先はゲーム世界

「申し上げにくいんですがお子さんはもう確実に剣道ができないでしょう」

「そ、そうなんですか」


俺は今入院していた。


剣道の練習中に不幸な事故が起きたためだった。


友達に誘われて高校から始めた剣道。

1年やってそろそろ初級とか初段とか、強くなりたいとか、いろいろ意識し出したころで俺は事故にあった。


大型トラックに跳ねられたのだ。

なんとか一命を取り留めているのが今の現状だ。


そしてたたみかけるように俺は体を壊した。


医者が言うにはもう剣道が出来ないらしい。


「まだこれからってときに」


俺以上に母さんがツラそうにしていた。


「で、でも命に別状はないんですよね?」

「はい」


医者は頷いていたが俺にはわかる。


(別の持病が悪化してる気がする)


俺にはもともと持病があった。

今までなんの問題もなかった持病なんだけど、事故ったことにより免疫力が下がったんだと思う。


そしてその持病が猛威をふるってる。


そんな感じだと思う。


「けほっ……」


咳が出た。

血が出た。


それを見た医者も目を丸くしていた。


「だ、大丈夫か?!」


そのとき心音計が異音を鳴らした。


意識が薄れていく。


みんなが俺の名前を読んでるような気がしたけど、俺はそのまま息を引き取った。



「くせっ……」


へんなにおいがして起きてきた。


両手を着いて起き上がった。


下には水たまりがあった。


その水たまりに顔が映っていた。


「俺の顔……当たり前だけど。でもどこだろう、ここ」


周りを見て見た。

見慣れないどこかの路地にいるようだった。


それから。


目の前に黒い箱が落ちていた。


「なんだこれ」


拾ってみた。

すると自動で箱が開いて


【異世界転移ボーナスを付与します】


・言語理解スキル

・ステータス

・ステータスリセット

・剣術スキル

・刀


【以上のものを付与しました】

【ステータスリセットにより前世での病気などの状態異常はリセットされました】


それを読んで文字に手を触れたら文字は消えてった。


「な、なんだこれ。異世界転移?」


気になったが俺は試してみることにした。


例のアレを。

えーっと、こうだったよな?


「す、ステータスオープン」


ポン。


目の前に文字が出てきた。



名前:トウキ・シジョウ

レベル:1

攻撃力:3

防御力:3

スキル:剣術レベル1


というようなステータスが出てきた。

どうやら異世界のようだ。


こんなゲームウィンドウみたいなもの日本じゃ再現できないだろうし。


「てか、ここ、どういう異世界なんだろう」


異世界ですってだけ言われても困るんだが。


そう思って俺は立ち上がった。


「それより、そういえば刀貰ってなかったっけ?」


ステータスウィンドウを呼び出して俺はちょっと触ってみたら


刀を装備できた。


スっと左手に刀が現れた。


「日本刀……?」


パッと見はそんな感じだった。


俺はそれから刀をアイテムポーチにしまうのを念じてみた。


すっと消えていく刀。


【アイテムポーチに収納しました】


どうやら持ち運びに苦労することはないようだ。


(さて、とりあえず人に会いたいな。どこだここ)


人のいるところに歩いていこうとしたときだった。


「ちゅーー!!!」

「ふぎゃー!!!!」


進行方向からこちらに向かってくるネズミ。

猫に追いかけられているようだ。


「弱いものイジメは許せないな」


刀を装備して鞘に入れたまま猫の方向に向けてみた。

するとピタッと止まる猫。


それからネズミは急いで俺の体をよじ登ってきた。


「た、助けてくださいちゅー」


ネズミが喋ったことに気づいた。


「ふぎゃっ!」


代わりに猫はすたこら逃げていった。

人間が相手では勝ち目がないと思ったのだろう。


「助かったでちゅ」


そう言って俺の肩をおりていこうとするネズミを呼び止めた。


「なぁ、助けたついでだし、この世界のこと少し教えてくれないか?」

「この世界のこと?知らないのでちゅか?」

「あ、うん。少し記憶を失ったみたいでさ」


そう言うとネズミは俺の胸ポケットに入ってきた。


「ちゅーが案内しまちゅ。説明は必要そうなものがあったらするでちゅ。とりあえず歩いてみるでちゅ」


そう言われた。


まぁたしかに歩くしかなさそうだよなって思って歩いてみた。


俺は今ちょっとした路地にいたようで少し歩くと大通りに出てきた。


そこでは犬耳や猫耳やそれからリザードマン。

もちろん人間とか、いろんな種族のヤツらが歩いてた。


その光景の中のひとつに見覚えがあった。


街の中心にある嫌でも目に入るバカみたいな高さの教会だった。

あの教会は大きいからすぐに目が入る。

自然とそれを見て名前が出てきた。


「アーノルド教会か?」

「それは知ってるんでちゅね」

「ここはゲームの世界なのか」

「ゲームの世界?」


首を傾げるネズミ。

適当にごまかした。


(どうやらゲームの世界に来たらしいな。)


このゲームは俺もやったことがあるから知っている。


そして、あの協会のことももちろん。


このゲームには特筆すべきことがある。


それは刀について、だ。


ネズミが声をかけてきた。


「そういえばさっきあの猫に向けてたものはなんなんでちゅ?」

「刀ってものだよ。この世界にはないはずのもの」

「聞いたことがないものでちゅね」


当然だろうな。

だってこの世界の攻撃手段は魔法しかないんだから。


武器になるものは


魔導書。

魔法杖といったような魔法を使うことを補助するような道具しかない。


この世界には刀剣というものは存在しない。


そしてどうやら俺はこの世界に


(自分の体で来ちまったみたいだな。転生とか、そういう形じゃなくて)


ということは、チートや才能などはないということか。

前世で自分が培ったものだけが頼りになるわけか。


厳しい展開になることもあるかもしれないが、それでも生き抜いてみよう。


知恵を使って。


とりあえずは


(レベリングってところか。これをしないとどうにもならない。今のレベルじゃさすがに不安がある)


そしてレベル1からでもいけるレベリングスポットとなると


「あそこだな」

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