第27話 朝陽の戦略
しかし、フジマルヒコはやや不思議に感じました。
なぜ暗いうちに戦わないのか ?
その方がハギノツタマルにとっては有利ではないか?と 。
それなのに なぜ、 太陽が昇ってから戦うことを決めたのか…
そんなことを考えているうちに、フジマルヒコは気づきました。
そうか!とつぶやきながらフジマルヒコは、
「今最もあまたの大蛇を傷つけることができるのは、マガタマ姫の勾玉の光だと思います。それも 、勾玉が一番力強く光を発するのは、朝日が登ったばかりの一番の光です。 その光を浴びせれば、 岩だって砕けると言われています。 ハギノツタマルはそれを知っています。 だからマガタマ姫の勾玉の攻撃を避けるために、太陽が昇って私たちが滝の近くに行くまでに、朝日の力を弱めようと思ったのです。 そうすれば、 勾玉の光もあまたの大蛇にはあまり通用しなくなります。 私たちが、ハギノツタマルの仲間になることはないとわかっていたはずです。 だからこそ、 太陽が昇るその時刻に洞窟から出し、 滝の近くまで行く間に、朝日の力が弱まるのを待とうとしたのです。 その考えを巧みに実行するハギノツタマルはやはり、敵としては最高の戦略の持ち主です。 しかし、大丈夫です! 私たちにも考えがあります。」
と少し微笑みながら語りました。
「 この洞窟は真珠貝の湖の近くに繋がっています。 しかし、 他にあまたの大蛇の滝の近くにも繋がっているのです。 だから、朝日が出る前にマガタマ姫 にこの洞窟から滝の近くまで行ってもらうのです。 私たちは太陽が昇る頃に、この洞窟を出て滝に向かいます。 マガタマ姫がいないのを悟られないように、サザナミ様にマガタマ姫に変装してもらいます。」
そして、ホシヒトとツチマルヒコは最初の予定通り、マガタマ姫とともにカゼマルヒコを助けるために洞窟を通り、 滝の近くまで行くことになりました。
朝も近づき、マガタマ姫たちは フジマルヒコから聞いた通り、 洞穴を進んで滝の近くまで来ていたのです。
そしてマガタマ姫の姿をしたサザナミとスサノオノミコト 、そして フジマルヒコたちが 洞窟から出て、 滝の近くへと向かったのでした。
太陽が昇ろうとした時、 不気味な笑い声とともに、 ハギノツタマルはつぶやきました。
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