屋上で。

「それぐらいの男気があるならやれるだろう。だったらあの女をモノにするんだな」


 彼はそう話すと、胸のポケットに何かを入れた。克己はそれを手に取ると衝撃を受けた。



『コ、コンドーム……!?』



「男にとって合コンと女と避妊具は三種の神器だ。覚えとくんだな?」


「コ、コンドームなんて……! おっ、俺は美紀ちゃんとはそんな…――!」


「じゃあ、いつモノにするんだ? するなら今でしょ? 今しなくてどうするんだ? 一生童貞のまま、化石仙人にでもなるつもりか? アンタが美紀ちゃんを女にしてやれ、それか美紀ちゃんが他の男に抱かれるのを指をくわえてみている気か? アンタは美紀ちゃんを自分の女にしたいんだろ?? だったらモノにするんだ。わかったな?」


 優希は克己の耳元でワル顔でその事を話すと、背中をポンと叩いてから屋上をあとにした。彼のその言葉にコンドームを握り締めながら悶々と考え込んだ――。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る