屋上で。

「よくもうちの可愛い弟にそんな卑猥な言葉を教えやがったな! おかげで俺は、弟の口から出た言葉に口からジュースを吹き出したんだぞ! ついでに目にもジュースが入って、ちょっぴり痛かったんだ!」


「お、落ち着け優希、それにはわけが……!」


「この場に及んで言い訳するな! この際、きっちりと説明してもらおうじゃねーかッ!?」


 優希は酷く怒った顔で克巳に詰め寄った。すると、彼は正直に事情を話した。


「確かにお前の可愛い弟君に卑猥な言葉を教えたのは俺だ! しっ、しかし、あの場合はしょうがなかったんだ! お、俺もまさかあんな所にいたなんて知らなかったんだ……!」


 克巳は苦し紛れの言い訳をすると、地面に両手をついて頭を下げた。


「そっ、それはなんのつもりだ……?」


「土下座でございますお兄様……! どうから貴方の可愛い弟君に卑猥な言葉を教えた事を許して下さい……!」


「貴様、土下座で俺が許すと思ったのか!? どうせなら何でそんな事を友葵に教えたのかを説明してから土下座しろッ!」


 優希はそう言い返すと、上から鬼の形相で彼を見下ろした。



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