幕間 ハーレムメンバーたちのあれやこれ 下

 翌日、リューはまたしても魔導書グリモア屋へと向かっていた。


 ルビィへのリベンジに――というわけではない。


「へーい、リューちゃんがきましたよー。お茶プリーズ!」


「あ……リューちゃんいらっしゃい。また小説読んでくれる?」


「おっほー! 一晩でそんなに書くたぁ速筆ですね。――どれどれ、読ませていただきますね。無能編集モトキさんより絶対わたしの方が的確な赤入れができますから!」


 昨日の戦闘の後、リューとルビィは冷静に二人で話し合ったのだ。

 ぽつりぽつりと、互いのことを語った。


 リューがルビィの小説のファンだと告げると、ルビィは大喜び。

 せっかく書いたのにモトキに読んでもらえない大量の小説を持ってきた。

 

 小説を読みながら店で談笑しているうちに――いつしか、二人の間には休戦協定が結ばれていた。



 とりあえず、あのクズ男はシェアしましょう、と。



 この世には話してもどうにもならない問題もある。

 しかし、話せばどうにかなる問題もあるのだ。


 今日も二人で語らううちに、いつしか陽は暮れていた。


「ん? もうこんな時間ですか。それじゃ、そろそろあそこ行きましょうか」


「うん……そうだね」


 ルビィは魔導書グリモア屋を閉め、リューと一緒に外に出た。


 二人が連れだって向かったのはユーヴァ教会。


 ここには、モトキの三人目のセフレであるミリアがいる。


 リューとルビィは二人で、モトキがミリアとどれくらい進んでいるのかをたしかめにきたのだ。


「それじゃあ、討ち入りといきましょうか」


「うん……!」


 外観がバーにしか見えないそこの扉を開ける。


「いらっしゃいま――あらあら! リューちゃんとルビィちゃんではないの!」

 二人を迎えてくれるミリア。


 ミリアがクィーラ教団にいた頃、リューとルビィはモトキの頼みで教会へ通っていたので、二人はミリアと知り合いである。


 バーテン服に身を包むミリアは、リューとルビィを二人まとめて抱きしめる。


「嬉しいわ、私に会いに来てくれたのね! さあ、中に入って!」


 カウンター越しに、ミリア、リュー、ルビィは他愛のない話を始める。


「あの……ところでミリアちゃん」

 ルビィはさりげない感じで切り出す。

「最近、ミリアちゃん……彼氏とはどうなの? どういうことしてるのかな……?」


「彼氏って子羊さんのこと? もちろんラブラブよ! あらあら、気になるの? とってもエッチな話になるわよー? 気になるなんて二人ともおませさん! じゃあ、特別に教えてあげるわね」


 ミリアは喜色満面、『子羊さん』となにをしているかを語る。


 子羊さんに毎回乳を吸わせていること、ミルクを出してあげられなくて残念なこと、かわりにミリアからも子羊さんに色々してあげてること――。


「それでね、こないだは子羊さんたら……お風呂場でぐったりしてる私とラーニャさんの体を抱き合わせるように二人重ねて――」


「…………っ」


「…………ッ」


 リューとルビィのこめかみに青筋が浮き出る。


 ミリアの彼氏の『子羊さん』は二人にとっても彼氏なのだ

 ミリアだけはそれを知らないが。


 ちなみにミリアは、モトキの正体や能力もまだ知らない。

 知られたら、モトキが殺されかねないからだ。



 リューとルビィは最初、モトキとの性生活を語るミリアに激しくイラついた――しかし、ミリアの幸福そうな顔を見てると、怒りは次第におさまった。


 顔を合わせていると、ヘイトはあまりわかないものらしい。


 ミリアの話を聞きながら、二人はそっと目を合わせ、仕方なさそうに笑った。


 しばらくは、このままでいいか、と。


 モトキが自分以外の女とやりまくってるのは甚だ不満ではあるが――そもそもそういう男を選んだのは自分たちなのだから、と。


 と、その時である。


「お姉さーん、きたよ――――げっ……」


 ユーヴァ教会の扉を開けて入ってきたのは男児――『子羊さん』であった。

 つまりはモトキである。


「まあ、子羊さん! いまちょうどあなたの話をしていたのよ!」

  

 ミリアは『子羊さん』をぎゅっと抱きしめる。


「僕の話……お姉さん、僕の何の話をしたの……?」


「あらあら、そんなの決まっているではないの! 子羊さんがどんなに上手か、どれほど私をいつも気持ちよくしてくれるのか……それを二人に知ってもらったのよ!」 


「へえ……」


 『子羊さん』もといモトキは、青ざめた表情でルビィとリューの方を見る。


 まさか、二人がいるとは思っていなかったのだろう。

 モトキの表情には、珍しく混乱が見て取れる。


 しかしリューもルビィも、今更怒る気はなかった。


「ねえねえ……みんな」

 ミリアはルビィとリューの顔を見る。

「私ね、みんなに子羊さんとのことを話しているうちに……うずいてしまったのだけれど。我慢できそうにないの……。それでね……よかったら、二人もどうかしら? すごい気持ちいいのよ、子羊さんの。私ね、他の女の人も一緒に気持ちよくなってるの見ると安心するの……。気持ちよくなっていいんだ、それが普通なんだ、って。だから一緒にしてみない……?」


「え?」


「え……?」


 リューとルビィは顔を見合わす。

 一緒に、というのはつまり、ここにいるモトキと女たちで、複数人でしようという誘いだろうか――?


 もちろん、そんな誘いは断るべきだろう。しかし――。


「…………」


「…………」


 先程まで、ミリアに『子羊さん』との性生活の話を聞かされていた二人は、かなりうずいていた。


 普段モトキにやられているので、ミリアがどうやられているのかをリアルに想像できてしまった。


「まあ、わたしはかまいませんけど……」


「わ、わたしも……」


「まあ、よかった! それじゃあお昼寝中のラーニャさんも呼んでくるわね! 子羊さんと5人でできるなんて楽しみだわ! ここでしましょう!」


 店の扉に鍵を閉めてから、奥の部屋へラーニャを呼びに向かうミリア。

 

 教会の店の部分には、ルビィ、リュー、そして子供に化けてるモトキが残された。


「モトキさんってばちょいちょい帰りが遅いと思ったら、ミリアさんと乳くりあってたわけですね」


「モトキくんの節操なし……!」


「いや、あの……今日は偶然というか、あの……」

 しどろもどろになるモトキ。


「ま、いいですよ、今回だけですからね……わたしもしたいですし」


「今回だけだからね……ほ、ほんとはエッチは二人きりじゃなきゃダメなんだから!」


 リューとルビィは嘆息しつつ、服を脱ぎ出す。


 しゅるしゅると服を脱ぎ落とし、よく整った細身の裸体をさらすリュー。秘部と胸を手で隠し、うつむいている。顔は赤い。


 ルビィは大きい胸がひっかかり、脱ぐのに戸惑う。

 頭から服と下着を抜くときに、ブルンッ……と巨大な胸が震えた。


 全裸になったルビィは腕で爆乳を必死に隠そうとする。

 しかし胸があまりに大きすぎ……回した腕が乳にめりこむ。


 と、ミリアがラーニャをつれてやってきた。


「な、なんだいこりゃあ!? なんでこんなことに……!」

 突然連れてこられたラーニャは、裸体をさらす二人の少女の姿に、愕然としていた。


「ほらほら、ラーニャさんも!」


「あ、え、お、おい……!」

 ミリアに服をはぎ取られていくラーニャ。 


 褐色の肌が露わになり、ついには下着も脱がされる。

 その胸は、先端だけが逆に色素が薄い。


「私も早く脱がなくっちゃ」

 そうして、服を着ている最後の一人となったミリアは、いそいそと脱ぎ始める。

 

 ラーニャと並ぶと、ミリアの肌の白さはいっそう際だつ。

 褐色と、白の色香。


「むう……」

 全裸のリューは不満そうにうなり、同じく全裸のルビィと腕を組んだ。


 目の前の大人コンビに、スレンダーと爆乳コンビで対抗しようと考えたのだ。



 ミリアが髪を結い終わったのが、スタートの合図となった。


 全裸のモトキを全裸の4名で取り囲み――


 それからは泥のように重なりあった。


 **


 ――手間がはぶけた


 これまで攻略してきた女におぼれながらも、俺は頭の奥で冷静に現状を把握していた。


 どういう展開があったのかは知らないが、俺の女たちは、女同士仲良くなってくれていたらしい。


 キリシャ攻略に、それは必要な手順だったのだ。


 おそらくリューあたりが何かしたのだろう。

 今回ばかりはファインプレイである。


 ――それにしても、いいな、これ……


 様々なバリエーションの裸体を一度に楽しめるというのは、たまらなくいい。

 疲れるのは難点だが、それくらいどうってことはない。

 参加した全員の全身が汗とか……他のいろいろなものでドロドロである

 

 しかし、と俺は思う。


 ロリ枠やっぱり必要だよなあ、と。


 はやくキリシャもここに加えたい。

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