神官ミリアは神の言うことしか聞きません 1
「はーいそれでは
リューはてマイクに見立てた箒の柄を俺の口元にぐりぐり押し付けてくる。
「おっぱい星人呼ばわりはやめろや……」
「おっと、これは失礼しましたおっぱい伯爵さん」
「変えて欲しいのは『おっぱい』の部分だ……」
「じゃあ、おっぱい公爵様」
「
俺はハァ……と嘆息した。
ルビィの攻略が終わり定宿に戻ると、リューは待ちわびていたかのように俺にしつこく絡んできた。
以前嫉妬はしないと言っていたが、さすがに自分の初めての男が他の女とやっている間、やきもきしていたのだろう。
そう考えるとかわいいな。うざいけど。
「で、ルビィさんを攻略したことでなにか変わったんですかおっぱい王様?」
「ついに王様に……――ルビィの攻略で何か変わったのかと聞かれたら、その答えはイエスだ」
ルビィを奪われハーレムを一部破壊されたユータロウは、確実に弱体化していた。
しかも、弱り方は半端ではなかった。
女神に失望され、力を一部とありあげられていた。
それに――
「ユータロウってさ、元々マジックタイプのチート持ちだろ。だからその供給元の
俺は笑う。
「この調子で他の女も奪うぞ。次の女からは多分、ルビィほどの手間はかからない」
俺は次のターゲットをすでに決めていた。
「次は神官のミリアを俺のものにする!」
**
『クーラ』の街の中央部には古い教会がある。
そこでは女神クィーラを信仰するクィーラ教団の神官ミリアが、街の人々の悩みを聞き、死者を浄化し、日々せわしく働いているとか。
たったの一人で。
聞いたところによると、ミリアは先代の神官の一人娘らしい。
親の遺した場所を一生懸命守ろうと――泣かせる話じゃないか。
「古いけど……雰囲気あるなあ」
俺は『ミラー』のスキルを使って子供の姿に化け、教会を訪れていた。
レリーフ、祭壇、そして女神を象る白亜の彫像
まさに神のおわす場所って感じである。
もう夜も近いので、俺以外には誰もいない。
俺は彫像の女神クィーラと目を合わせてみる。
「覚えは、ないな」
多分だが、俺をこの世界に送り込んだ女神はクィーラではない。
覚えていないのだが、俺を転生させたのはもっとこう、邪悪な笑みが似合いそうな感じの女神さまだったような――
と、
「――あらあらずいぶん小さな迷い人。こんばんは、ご用はなぁに?」
教会の入り口の方から声が聞こえた。
振り向くと、そこには紙袋を手にした神官服の女性が一人。
少しヴェーブのかかった長い金髪、慈愛を感じさせる笑み――一これがミリアだろう。
「あ、ごめんなさい……勝手に入り込んで」
子供に化けている俺は、しゅんとうつむいた。
「あら、どうして謝るの?」
「だって僕……クィーラ教徒でもないのに」
「いいのいいのかまわない。女神クィーラ様は老若男女あまねく人を受け入れる。寛容こそが最も大事な精神だもの」
それに、とミリアは続ける。
「今あたながクィーラ教徒でなくても、それは『今』、信徒ではないというだけの話なの。未来のあなたはクィーラ様に
ミリアはそっと俺の手をとった。
「あなたにちゃーんとクィーラ様のすばらしさを説いてあげますからね。あなたもそのご家族も、みーんなみーんな私が導いてあげるから、心配なんて必要ないの!」
ミリアは「さあ、クィーラ様の偉大さを説いてあげますからね」と俺を奥へと引きずっていく。
……間違いなく、人の話を聞かないタイプの女だ。
やり取りするのに疲れそう。
ルビィは癒し系でよかったなぁ、と内心嘆息。
いやしかし、ここが正念場である。
二人目を寝取れば、ユータロウは殺せるレベルまで力を落とすだろう。
必ず、この女ともやってみせる。
その神官服の下に隠れた肌に舌を這わせる日を夢見て、俺は気合を入れた。
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