16 to 18 years old

高校生活は、理想とはかけ離れてしまった。

慧太と仲良くなり、高2になってから付き合う事になったのだが、歩実たちに知られてしまった。先輩と仲良くしてることが気に入らなかったらしく、二人と溝ができた。慧太はすでに卒業していたため、援助交際なのではと噂に尾ひれがつき、教師からも目をつけられた。それでも本気で彼と一緒に居たいと思ったから、耐えた。辛いときに、浮気をされたこともあった。それでも許し、耐えた。耐えたのに、別れを切り出された。人を信用出来なくなったのは、その頃からだと思う。

人間関係が上手くいかないまま、3年になった。進路を決めなければいけなかった。自分の本当にしたいことも口に出せず、福利厚生が良いだけの会社を探した。その時、ふとなぜか先生のことを思い出した。先生は、なぜ教師になろうと思ったのか。それだけ聞きたかったはずなのに、心のどこかで拠り所を探していたらしい。中2の友達から先生の連絡先を貰い、「先生久しぶり!聞きたい事あって連絡しました」と送った。しばらくして、「久しぶり!元気にしてるか??何でも聞くよ」と返信がきた。あの頃のままの、優しい先生だった。進路のこと、今までのこと、気づけばたくさん話していた。それでも先生は否定せず、かけてほしい言葉をたくさんかけてくれた。気づくとスマホの画面に、涙の雫が落ちていた。それを分かったかのように、「今度飯でも食べながら、久しぶりに話すか」と言ってくれた。

会うことになったのは、秋が終わり冬の匂いがし始めた頃。ご飯を食べ、展望台に車を停め夜景を見せてくれた。その時もうすでに、先生を好きになっていたと思う。シートを倒し目を閉じていた先生の頬に、キスしてしまった。

「だめだよ?俺なんかに。」

「ごめん。でもしたくなった」

先生はだめだよと優しく顔を撫でてくれたが、今にも泣き出しそうな、いっぱいいっぱいになった私の顔を見て、「1回だけね」とキスしてくれた。その後のことはよく覚えていない。帰りの車、私たちは手をつないでいた。付き合ってはいない。その日から私は、先生ではなくさっくんと呼べるようになった。

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Bring back memories. 琥珀 @oneokrockkanano

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