第18話 本番はすぐに

 関西マーチングコンテストはすぐにやってきた。学校が始まっても土日はも九時九時。よく続くなと毎日カメラをセットしながら感心していた。


 フィールドに入る前に部員のタオルを預かる。水分補給も欠かさない。


「じゃ、行くぞ。ヤガミでファイト! オー!」


 時勢柄、大声も出せないので小さな声で気合をいれていた。マスクは演技前に外すらしい。


 行って来い無理をするなよ。怪我して、足でもひねったら馬鹿らしいぞ。僕はタオルを持ちながら、スクールバッグの中に入ったお守りを感じた。残念ながらフィールドに入る部員ではなく、なぜか僕へのお守り。



 喘息で倒れないように念を込めました。止めろそれ呪いや。


 いつでも見守ってますよ。止めろそれストーカーや。


 先輩がみんなの支えになってください。止めろそれプレッシャーや。


 どうか神様、金賞はとったけど残念ながら全国には行けませんでしたをお願いします。


「全国大会に推薦しますのはプログラム18番」


 この時点で小さな悲鳴。


「八神高校吹奏楽部です」


 行っちゃったよ。全国大会。

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