第6話 空っぽの舞台

 大阪府大会は無観客で行うことになりました。


 最後まで色々な調整をしてくれた大人が苦渋くじゅうの決断をした結果だろう。

 ここでくよくよせずに関西大会へ行こう。もしかしたら観客が入るかもしれない。

 ここまで空虚くうきょに響く部長の鼓舞こぶもめずらしい。


「合奏すんぞー、入れよ。はよせーよー」

 監督は意に介していないようで、そのいつもと同じなのがメンバーを安心させているのかもしれない。


 なるべくコロナを持ち帰らないように、コンクールメンバーとマーチングメンバーは別れて行動し、マーチングのシャワー時間は少人数で使うように分けられた。


 僕はマーチングだったので、基本的にはお弁当はマーチングのみんなと食べることが決まったのは無観客が発表されてからかもしれない。

「よくやるよ。ホント」


 日陰で練習を見ている僕の目の前で松山も練習している。指が動かなくても楽器を持って歩くことが出来るから大丈夫との判断だ。


 みんなが休憩に入ってすぐにグランドに水を撒く、夏場の土はよく舞うのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る