第4話 そんな都合は良くない

「光さん、なんでティンパニーが二セットなんすか」


「マリンバは分かるけど、うちハープ一台しかないのに、どこから連れて来るの?」


 あぁ、もうそんなの知らない!

 いつもそういう甘い皮算用をする!


「あれやったら、ええな」

 その気持ちを前提に話す人だ。なやみながら配置図を書いた部員も部員だが、書かせた方も書かせた方だ。


 どこどこ中学からとか、どこどこ高校からだとか。そういう確実ではない想像をする。どこどこだって大阪府乗るんだから貸し借りはシビアなはずだ。


「みんな変更。ティンパニーは一セット。ビブラフォンとマリンバ、グロッケンは第二中からでチャイムは卒業生から、あとハープ先生が」

 調整係ちょうせいがかりがあくせくする中。


「どうにか、なっらんかな」

 部員はあんたがどうにかするんだろ。と、総突っ込みを心の中で叫んだはずだ。


「それでマーチングの方やけどさき先生が大会終わりに来てくれはるから、光くん、準備よろしく」


 咲先生とは若いマーチングの指導者で監督が連れて来た。一年目にして全国大会銀賞まで連れて行ったこともあるらしい。


 なぜ府大会終わりかというとコンクールとマーチングの両持ちがいるからだ。

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