最後は観覧車(メ)

最後に観覧車(メ)

 わかった、観覧車に行くんだね。


 観覧車にも噂があるんだよ。知らない人がいつの間にか乗っているって噂だよ。化け物にも会ったんだ。きっと観覧車に乗ればなにか起きるはずだよ。さあ、行こう。


 ゴンドラの扉は開いているね。さあ、座ってみて? え? 私? 遠慮しとくよ。また化け物に会いたくないからね。君は、馬と約束したんだろう? ほら、入った、入った。



 ◇ ◇ ◇



 あなたは押し込まれるようにゴンドラの中に入った。扉が閉められる。開けようとしたが固く閉ざされていた。


 ガタンとゴンドラが揺れると、観覧車が動き出した。あなたを押し込めた人物がニコニコしながら手を振っている。


 あなたは仕方なく座った。窓の外から手を振る人物を憎たらしく思った。


 ふと、視線を感じた。このゴンドラの中からだ。向かいの席に誰かが座っている。薄汚れた白衣を着た、中年男性だ。目が合うと男性がにやりと笑った。薬品の臭いと生臭さがその男性から漂ってくる。


 男性が口を開いた。


「わたしの遊園地は気に入ってもらえましたか?」


 男性は席を立ち上がると、あなたの隣に座った。男性から血なまぐさい臭いがする。


「でもまだ完成していないのですよ。あなたにも協力してほしい」


 男性はあなたの肩を抱き寄せると、あなたに紙を渡してきた。そこにはこう書かれていた。


『肉の観覧車』


 男性はあなたの太ももを触るとこう言った。


「君の座り心地は良さそうだ。協力してくれるよね?」


 嫌な予感がする。どうしようか?



『殴りかかる』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663384580032/episodes/16817330663474015758


『助けを求める』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663384580032/episodes/16817330663474110108

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る