第20話

「褒美をやろう。」


「褒美?」


ザングラッド侯爵に急に呼ばれた。


「ああ、国王様からだ。なんと、グリフォンの子供だと。」


「それって、美味しかったでしたっけ?」


「たわけ。グリフォンと言ったら、グリフォン騎士団じゃろが。お前も騎士見習いの端くれなら覚えとけ。」


「はぁ。」


「しかも、ただのグリフォンじゃないぞ。なんと、水属性にかなりの適性がある、かなり稀なグリフォンなんじゃ。」


そう言って、子供のグリフォンを渡された。小さい、ほぼ赤ちゃんだろ。


「ピ!ピ!」


「おおっ!早速懐いているな。国王様のご厚意しかと感じるんじゃぞ。」


「分かりました。」


俺は、子グリフォンを渡されて帰った。


ーーーーーーーーーー


「要らないものを処分しただけね。」


「えっ?そうなの?」


「そりゃそうよ。グリフォンが強いのは風魔法を使って、空を自由に速く飛び回れるからでしょ。」


「確かに。」


「この子は、水属性の魔法適性はずば抜けてるけど、風魔法はからっきし。要は捨てられたのよ。」


「そうなのか。お前捨てられたのか。」


「ピピピ!!!」


頭を撫でると、嬉しそうに体を擦りつけてくる。


「まあ、みんな無事だったし、臨時収入もあったし、よしとするか。」


「そうね。さすが闇ギルドだわ。貴族の弱みとなりそうな書類も山ほどあったし、よしとしましょう。」


「ああ。」


ーーーーーーーーーー


「エド君、あ〜ん。」


「あ〜ん。」


ミーサはあの日以来、積極的にいちゃついてくる。


「二人とも、食事中は行儀よくしなさい。」


「何?エリシアちゃん妬いてるの?」


「違うわよ。時と場合を考えなさいって言ってるの。」


「まあ、落ち着けよ。エリシアにもやるから。ほら、あ〜ん。」



ーーーーーーーーーー

子グリフォンは、生肉をバクバク食ってた。

人懐っこいグリフォンで、特にリーサとよく遊んでいる。


俺は、『赤線』の練度を高めるべく、日々訓練に明け暮れていた。

魔力は、土にも木にも石にもどこにでもあるが、体力は生物しかないから、

魔物に近づいて、その魔物が死ぬ寸前まで、『赤線』を使用するだけだが。


一日、10分も鍛錬が続かない。それほど、体と脳を酷使する。

家に帰って、


「疲れた、体が動かない。」


「お疲れ様です。エド様。」


「ああ、水ありがとな、リッカ。」


「いえいえ、これぐらいは。」


「そういえば、リッカと二人きりになるのは久しぶりだな。」


「そうですね。最近は忙しかったですから。」


「そうだな。これからは、ゆっくりできるといいな。」


「私もそう思います。」


「庭のベンチに行こうか。」


「はい。」


ーーーーーーーーーー


「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


対抗戦会場は熱狂に包まれていた。

しかし、その熱狂とは裏腹に退屈していた少年がいた。」


「リュイ様、ここにいらしたんですね。」


「リンか。まあね、一応上級生の戦いも参考にしたいしね。特に団体戦は。」


「そうですか。」


リュイは、対抗戦において、個人戦、団体戦ですで優勝していた。

団体戦なのにリュイは一人で出場し、相手の5人全員打ち負かした。


「昔はもっと、楽しかったんだけどな。」


「それはしょうがありません。リュイ様は圧倒的でしたから。」


リュイは圧倒的なまでの実力差をつけて同年代に勝利したのだ。

圧倒的な差からは絶望しか生まれない。

同年代は一位は諦め、二位争いに躍起になっていた。


「エドの方がもっと強いと思うよ。」


「あの男を参考にしてはいけません。騎士の剣ではありませんから。」


「それでも強いよ。エドも大会に出ればよかったのに。」


「どうせ、おっぱいに目が眩んだだけです。」


「そうだろうね。まあ、でも世界騎士と訓練できるんだし、勿体無いと思うけどな。」


「その通りです。」


エドが世界騎士に誘われていることを知らないリュイであった。


ーーーーーーーーーーザングラッド侯爵邸にて


「姫様をかくまってほしい?」


「ああ。我が王国の第4王女クリステッド様を匿って欲しい。」


この無茶振りにはキレないといけない。


「嫌だ。自分たちでどうにかしろ。」


「それは無理じゃ。厳密的には可能だが現実的ではない。騎士は常に人手不足なのだから。」


「知るか。」


「かなり胸が大きいぞ。」


「分かった。その依頼引き受けよう。」





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巨乳巨尻しか勝たん!!冒険者生活(騎士見習い) @ininininin

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