異世界夫婦生活ー離婚寸前の夫婦が異世界転生?!ー

@wolf12

その夫婦、異世界転生する

ー田中 凛花ー

「なんで貴方はわかってくれないのよ!!」

そう、目の前の夫に怒鳴り散らす

「数ヶ月で主婦になったお前にはわからないだろうな!!」

はいはい、いつもの主婦貶しね。

きっかけは些細な事だった。結婚してから夫のズボラな面がどんどんと出てきていつの間にかこんなに仲に亀裂が入ってしまっていた。今日もいつの間にか別々になっていたベッドに雑に潜り込み、溜息を吐く。

「そろそろ、これの出番かな」

いつでも突き出せるよう、棚に丁寧にしまった緑の紙、そこにはお察しの通り離婚届と言う文字が大きく書かれていた。

彼への好きという感情もとっくのとうに冷めていた。

懐かしい学生時代、嗚呼あの頃、自分の部活動に必死になっている彼を見て好きになったんだっけ。

そんな事を考えながら眠りについた。

ー田中 乱ー

まあやってしまった。妻が忙しいのは気づいているというのに。そんな反省する、という気持ちを捨て、自己中心的な「俺は悪くない」という考えに塗り替えた。

俺は悪くないのだ。

もう、この関係は終わるのか。毎夜そんな事を考え悪寒がしていたはずなのに。今はそんなものすら感じなくなっていった。

もう冷め切ってしまったのかもしれない。

お互いがこれ以上傷つかない為にも諦めるしかないのだろうか。

「こんな事考えてたらキリがないな」

そう呟き電気を消してベッドに横になった。


「「いや?!ここどこだよ!!!!」」

おかしい、俺は自分の部屋で寝ていたはず

だ。はずなんだ!!目の前はアマゾン?のようなジャングル。横には俺と同じく慌てた顔をした妻がいる。

「夢かしら。」

そう言いながら妻がまた寝ようとしたので慌てて止めたからいいが…本当に何処だろうか。

「乱ー!!!見てー!」

妻に久しぶりに名前を呼ばれ、振り返る

その姿を見た時、俺は思わず目を見開いてしまった。

妻は明らかにこの世には存在しないであろうぷよぷよの何かを抱えていたからだ。

「この子可愛いの!」

「いや、可愛いか??」

いかん、ツッコミどころが多すぎて変なところにツッコンでしまった。

試しにぷよぷよに触ってみる。

「は?」

「どうしたの?」

「お前には見えないのか?」

俺の目にはぷよぷよについてのステータスや説明が見えていた。どうやら俺のスキル?というやつらしい。試しに妻の頭を撫でてみる

「何…。」

そんな冷たい顔することあるか?

どうやら妻のスキルは様々な生物を手懐ける事ができるらしい。

少しスキルに格差がありすぎないか?

そう愚痴をまた心の中で呟くと

「とりあえず戻る方法を探しにいきましょう?」

「そうだな…」

こうして、俺らの異世界生活が始まった




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