秘密の交流

『レオンが住む世界の人間以外の動物って魔法は使えるの? あと人間以外の人型の種族とかいたりする?』

『そうだな、動物も魔法を使える個体は多い。人間以外で人型種族はエルフや獣人、小人、ドワーフ、人魚、妖精……多すぎて図鑑でも見ないと書ききれないな』

『色んな種族があるんだね。レオンの住む世界行ってみたいな、なんて』

『世界を移動する方法、探してみるか?』

『え?』

『異なる世界から勇者を召喚したり帰したりすることができるなら、世界間を移動することはできるってことだろう? 俺も魔法のない世界の文化や技術に興味がある。それに』

『それに?』

『天花と話すのは楽しい。だから、天花と直接会って話がしたいと思ったんだ。……言葉にすると恥ずかしいな、すまない』

『謝らないでよ、私だってレオンと話すのは楽しいし直接会って話したいって思うよ』

『……そうか、なら決まりだな。俺は勇者召喚の儀式について調べてみる』

『…………ありがとう。私も一応、調べてみるね。望み薄だけど』




『そういえば数日後に兄さんが帰ってくるそうだ。日記帳や勇者のことについて問い詰めてやる』

『おお、やる気満々だね』

『まあな。分からないことを分からないままにするのはあまり好きではないし、単純に興味があるからな』

『応援してるよー、ファイト!』




『世界間を移動する方法についてだが、父の書斎に勇者召喚の儀式についての本があった。とりあえずこれを調べてみようと思う』

『なるほど、ありがとう。私は役に立てそうにないや、ごめん』

『それぞれできること、できないことがあるのだから気にしなくていい。それが世界の違いという努力のしようがないことなら尚更だ』




『天花は普段何して過ごしているんだ?』

『何でそんな急に』

『魔法の有無でどんな変化があるのか気になったんだ。場所が変わるだけで文化も大きく変わるだろう? ならそこに魔法という特に大きな変化を加えたらどうなるのだろう、と思ってな』

『勉強時間と読書の時間以外は基本ゲームセンターで遊んでるかな。クレーンゲームとか、リズムゲームとか』

『一人でか?』

『一人で。友達いないし。あっ、でも兄さんとはよく一緒に遊びに行ってたよ』

『そうなのか。俺はゲームセンターには何度か行ったことはあるのだがあまり上手くできなくてな』

『なら、世界を移動できるようになったら一緒にやろうよ。コツも教えてあげる』

『いいのか?』

『もちろん。だって一人でやるより二人の方が楽しいから』

『……ありがとう。その時が楽しみだ。その為にも早く移動方法をみつけなくてはな』




『そういえば昨日聞くの忘れてたから今日聞くけど、レオンは普段何して過ごしてるの?』

『鍛錬と勉強、あと騎士団の仕事と庭の手入れぐらいだな。何かもう少し趣味を持った方がいいのだろうか』

『レオンがそれで満足してるならそのままでいいと思うよ』

『それもそうだな』




『数日前に報告した勇者召喚の儀式についての本のことだが、本自体は読み終えたのだが文が古風で無駄に長ったらしく書かれてあってだな、しっかり理解するにはあと数日かかりそうだ。すまない』

『私は何もできないんだから全然気にしなくていいって。謝らないといけないのは私の方だよ』

『ありがとう。できるだけ早く理解できるように頑張るから、会えた時は……』

『会えた時は?』

『…………いや、なんでもない』

『えー、何て言おうとしたの?』

『もっと話そう、と言おうとしただけだ』

『本当でござるかー? レオンは一回言ってから照れるタイプな気がするけど』

『うるさい。本当にそう言おうと、いや書こうとしたんだ』

『まあ、いいか。会えた時には教えてくれる? 何て言おうとしたのかさ』

『……ああ、いいぞ』

『やっぱり違うこと言おうとしたんじゃん』

『いい子はもう寝る時間だぞ』

『わるい子なのでまだ寝ませーん』




『レオンは好きな食べ物とかってある?』

『急だな。俺の好物はフライドポテト、だと思う。店とかに行けば必ず頼んでいるからおそらく好きなのだろう。そういう天花はどうなんだ?』

『私は果物が好きかな。特に桃とか』

『桃か。桃は俺の出身地の名産品なんだ。こちらの世界に来れるようになったら食べるか?』

『え、いいの?』

『ああ、勿論だ。一人で食べるより二人の方が美味しく食べられるだろう?』

『……嬉しい、ありがとう!』

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