日記帳を通じた交流

『兄さんの部屋すごく探しにくいからまず片付けてからになりそう、ごめん』

『いや、大丈夫だ。ばあやに勇者について聞いてみたのだが、妹が1人いるらしい。天花のことかもしれないな』



『片付けながら普段使いする場所を探してみたら、いかにも魔法とか魔術とかが使えそうな宝石がついたペンダントを見つけたよ。今からそのペンダントの絵を描くけど、見覚えとかある?』

『ああ、街で売っているお守りに同じデザインのものがあったからそれかもしれん』

『ならこれも証拠になるかな?』

『少しはなると思う。明日それが売っているか見に行ってこよう。というか、絵が上手だな。花とかも描けるのか?』

『もちろん! 描こうか?』

『いいのならお願いしたい。異世界にしかない花とかもあるのだろうか』

『魔術とかある分レオンの住む世界の方が種類はありそうだね』



『今日は収穫なし。でも部屋は半分くらい綺麗になったからこれからに期待かな』

『そうか……。できれば写真とかがあれば明確な証拠になるだろうからそこら辺を重点的に探してほしい。あと、街に行ってきたがやはり先日天花が描いていたデザインのペンダントがあった。同じデザインなだけということもあるかもしれないが可能性を高めることはできるだろう』

『写真ね、了解! あ、そういえばレオンって花が好きなの?』

『ああ、毎日水をやって世話をすれば美しい花を咲かせるところが好きだ。そういう天花は好きなものとかはあるのか?』

『私は本を読むことくらいかなぁ。そうだ、レオンの世界にはどんな物語があるの?』

『物語か。御伽噺だったり、大会で優勝を目指す話だったり、魔法を上手く使えない少年が他のことで成り上がる話だったり、少年少女が世界を救う話だったり、まあそんな感じだな』

『魔法の有無という大きな違いがあっても物語の根幹はあんまり変わらないって感じなのかな? あ、ならスポーツってどんな競技があるの?』

『スポーツなら魔法や剣を使った決闘が特に人気だな。特に決闘は魔法士なら誰もがすると言っても過言ではないほどだ』

『決闘!? 文化の違いだ』



『なんとか片付けを終わらせたよ。それで、写真なんだけど』

『な、無かったか?』

『数年前くらいの時の兄さんと同い年くらいの金髪の少年が一緒に写ってる写真があったよ。その少年が着てる服が金色の糸を使った刺繍が入った黒色のコート? だったんだけど、心当たりある? その人の似顔絵も一応描くね』

『金色の糸を使った刺繍? 騎士団の制服の特徴とよく似ているな。黒いなら一般騎士団員の制服だが、兄さんが騎士団長になったのは3年前だし、兄さんの可能性もあるな。……この似顔絵、数年前の兄さんをそのまま漫画調の絵にしたようだ。やはりその写真に写っているのは兄さんな気がする』

『うーん、写真を直接見せることができないのはやっぱり不便だね』

『まあ、仕方ないな』

『そういえば、レオンの住む世界にも漫画があるの?』

『漫画はあるな。親はあまり好まないが、俺は好きだ。小さい頃はよく兄さんとこっそり読んでいた』

『私も漫画は好きだよ。どんな漫画があるの?』

『魔獣とは似ても似つかないモノがいる森から抜け出す話とか……』

『まさかのホラー』



『天花の住む世界の学校はどんな感じなんだ? 俺の住む世界の学校は金をある程度持つ家か才能を持っている子どもが行く場所で、魔法のことについて学ぶ為の場所なのだが』

『私の住む国では小学校、中学校、高等学校、大学の四種類があって、小学校と中学校は絶対に行かなきゃならない学校、高等学校は行かなくてもいいけど行く人がほとんど、大学は行かなくてもいいけど半分は行くし行った方がその後の人生で有利……って感じかな』

『そこら辺の制度の違いは魔法の有無ではなく歴史の違いなのだろうか? やはり興味深いな』

『本当にね。でも歴史の違いにも魔法は関連してるだろうし、複雑だ』

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