木漏れ日の下で・・・。

猫野 尻尾

第1話:道枝 梨紅。

前書き:この小説はトランスジェンダーの問題がでてきますが、特にそこに

こだわってる訳じゃありません。

これは、あくまでラブストーリーです。


僕の名前は「小高 宇宙こだか そら」高校二年生。

僕の彼女「道枝 梨紅みちえだ りく」同じく高校二年生。


そらとりくってなに?この偶然的この組み合わせ。

これで、もしウミって名前の子がいたら、陸、海、空で自衛隊じゃん。


梨紅に会ったのは親父の仕事の都合で転校した新しい高校でのことだった。


母親から「転校だよ」って聞かされた時は最初は少し抵抗があった。

仲のいい友だちもいたし・・・。

でもなんとなく今の学生生活が楽しくてしょうがないって思ったことは一度も

なかった。

だから環境が変わるほうが、いいのかもしれないと思った。


新しく転校する学校・・・今よりずっと、ど田舎のほうにある。

一度、母親とそのど田舎の学校を訪ねたが、自然に囲まれたいい環境の場所に

建っていた。

僕はなんとなく、そんなノスタルジックな雰囲気が好きだったし、そこにいる

ことが心地いいとさえ思った。

確実に今通ってる学校よりいい。

僕の心は、知らず知らずの間にかすさんでいたのかもしれない。


転校したその日、少し緊張する中、僕は先生からクラスのみんなに紹介されて

自分で自分を自己紹介して指示された席に座った。


そして俺の一個、前の席に座っていたのが、僕の今の彼女「道枝 梨紅みちえだ りく」だった。


一週間も経たないうちに何人かの男子生徒とも、すぐに打ち解けることができた。

都会で暮らす人と違って田舎の人は素朴で親しみやすいのかなって思った。


まあ、それは人によって違うんだと思うけど・・・性格の悪いやつは都会だろうと

田舎だろうといるもんだ。

そういう連中とは一生仲良くはなれない、価値観が違う人とは相容れない。


クラスの中で一番仲良くなったのが「田中 仁たなか ひとし」って男子生徒だった。

くったくのない男で正直で姑息じゃないところが気に入った。

だから田中君「仁」とは、案外よく気があった。

趣味なんかも共通していて、田中君も僕と一緒でけっこうなオタクだった。


クラスのみんなの顔と名前は、すぐには覚えきれなかったけど、

僕の真ん前の席にいた梨紅りくのことは、転校して来たその日に、

いの一番に記憶に残った。


髪の長さは肩まで、身長は160センチくらい?、明るい性格の子でよく笑う、

そしてその美貌はなんと言ってもクラス中でも群を抜いていた。


僕はどっちかって言うと、人見知りで無理にはしゃいだりするのが苦手な性格

だったから逆に、明るく聡明でキラキラした梨紅のことが好きになった。


ときどきほおずえをついて窓から外を見ている梨紅の横顔を見るのも好きだった。

僕と梨紅は席が前と後ろということもあって、いつしか自然と話すようになって、

そして僕の気持ちは日増しに梨紅に傾いていった。


である日、僕は勇気を振りぼって自分の気持ちを梨紅に告白した。

でも梨紅の答えは「ごめんなさい」だった。

ごめんなさいってなに?・・・自信あったのにちょっとショックだった。


僕としては快くおっけ〜してくれるもんだと思ってただけに・・・。

僕だって、そんなにブチャイクな顔だってしてないし・・・性格だって

ヒネてないし断られるような要素なんて、な〜んもないと思ってたのに・・・。


僕たちいつも仲良くしゃべってたじゃん。

あれってただの社交辞令?

それとも他に付き合ってる彼氏とかいたりする?

毎日ストーカーみたいに彼女を見てるけど男の影なんかないし、そんなそぶり

だって見せたことないし・・・。


よく考えてみたら、梨紅くらいの綺麗な子なら彼氏のひとりくらい

いないのはおかしい気はしたけど・・・。


で「ごめんなさい」を言った後で梨紅が言った。


「男子の中で、私に告ったの小高くんが初めてだよ」


え?・・・初めてって・・・そんなに可愛くて綺麗なのに?・・・。


そしたら、


「小高くんの気持ち断ったのは、私たち付き合ったって、きっと別れる

ことになっちゃうと思ったからだよ」

「そうなっちゃったら小高君、嫌でしょ」


梨紅はそう言った 。


「なんでそうなるの?」


つづく。




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