第6話『遊び友達』

 正直に言えば、かつての私には、友達が居た。

 今の私には、友達は居ない。皆無だ。

 今の私については後々話すので、まずはかつての私の事について続けようと思う。

 一年生からの私は、今とは正反対で友達が沢山居た。

 隣の席で本のやりとりをしていた子もそのうちの一人。鬼ごっこやかくれんぼ、缶蹴りなどをいつもしていた子達も居る。ゲーム仲間やカードゲーム仲間といった子達も居た。空想して遊ぶごっこ遊びをする子や、おままごとをする子も居た。

 隣の席の子はいつも読書をしていた子だが、その子とのやりとりは私がたまたま読んだ本から始まった。

 その子が読破した本を私が持ってきたようで、今度本の感想を聞かせて欲しいと言われた。キッカケはその程度だが、それ以来私とその子は読書の感想やオススメだった本を言い合うような仲になった。

 ただ、いつもその子は一人で、どうやら友達を作るのが苦手だったようだ。否、本が友達だったのかもしれない。それでも唯一の友達は私といった所で、二年生、三年生になってもその関係は続いていた。まぁ、後々話す事としても予め言っておけば、私から縁を切る事になったのだが――。

 鬼ごっこやかくれんぼ、缶蹴り、サッカーや野球は他の子達と校庭や公園でよくしていた。ゲームやカードゲームもおそうだ。おままごとやごっこ遊びもよくやった。基本的に男の子と女の子、分け隔てなく遊ぶような子供だった。

 そのためか、放課後になると真っ先に帰って出ていく。私はそんな子供だった。数名で集まって遊びに明け暮れていた。秘密基地づくりとか探検ごっこなんかもやっていた。

 故に、毎日の連絡帳の日記はどこどこで誰といつ遊んだという事で埋め尽くされていた。

 家に帰っても宿題が終わればゲームやレゴやらに夢中になって遊ぶ。私はその時点ではごく普通の小学生だったのだ。

 あの頃は凄く楽しくて、あえて言うのであれば、私の子供時代で一番輝いていたのはその頃までだ。

 春休みも夏休みも冬休みもどこかに出かけたり誰かと遊んだりする。それがずっと続くと思っていたのはきっと私だけだったのだろう。

 だから、子供の私は遠いいどこかに今も少しだけ置いてけぼりだ。何せ、この後の私には人生で最大の嫌悪感と憎悪しか訪れないから。

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