第6話 a-2《それは、なんですか?(死者からの引用の連続・伝言ゲーム)》

 a-2《それは、なんですか?(死者からの引用の連続・伝言ゲーム)》


〈なゆた〉というのは、数字の単位だそうです。

 万、億、兆、京……と続き、那由多なゆた、不可思議、無量大数、となるのです。とても大きな、日常ではまずお目にかかることはないであろう単位です。

 途方もない単位に、宇宙人であるあたしのパパは(何の話かって? 大丈夫、すぐに説明しますから)、彼の何億光年先の――この場合、何那由多光年でしょう――故郷を重ねたのでしょうか。

 あたしは幼いころから、パパに宇宙人として育てられました。(「じゃあパパもうちゅうじんなのですか」と尋ねたところ、「まぁね」と得意気だったのをよく憶えています)

 パパはいつも、あたしの頭を撫で「ここが世界の中心だよ」と繰りかえし言うのでした。

 あたしは生まれた瞬間、パパに、頭のてっぺんにしるしとして、コンパスの針を刺されたのです。それはもちろん、浅く、血が出ない程度にですが。

 そのときから、世界の中心はになりました。押しつけがましいですが、パパなりの優しさなのでしょう。

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