第18話 すれ違い
ぼくたちは依頼で洞窟に来ていた。
洞窟の奥深くまで入っていく。
しばらくすると、予想通りゴブリンが数十匹いた。
一匹一匹は弱いが、これだけ数がいると面倒だな。
「
「今回は調査だけだから、しなくていいのよ。」
「ついでに殺してしまえばいいのに。」
オリットが呟く。
「調査だけだからね。依頼は。」
ローズは洞窟の調査表を書きギルドに提出した。
「さて、帰ろっか。お疲れ様。」
ローズは依頼料を均等に分けて、みんなに渡す。
「私は、何もしてませんよ。」
オリットは断ろうとしていたが、
「一応受け取って下さい。」
ローズは強引に手渡した。
冒険者ギルドをでて、街道を歩いていると。
「お腹すいたなぁ。」
シオリが呟いた。
オリットはシオリの瞳を見つめる。
”
シオリの瞳の瞳孔が開いた。
これで彼女は私の意のままだ。
「シオリさん、一緒にご飯でも食べに行きませんか?」
「いいんですか?嬉しい~。」
オリットはシオリの腕を組み、一緒に歩く。
「彼女は頂いていきますね。」
ぼくに意地悪な笑みを浮かべながら、オリットはシオリと歩いて行く。
「え?何やってるのよ!追いかけなさいよ!」
ローズはぼくに叫んだ。
「物騒だなぁ‥ご飯食べに行っただけじゃないですか‥。」
多分そうだと思いたい…。
ぼくは足がすくんでしまった。
ローズがぼくに
お酒で人格が変わるって本当だなぁ。
酒場で、ローズは酒を、ぼくは果実水を飲んでいた。
「取られちゃいました~とか言ってんじゃないわよ~。」
「後悔しても遅いんだからぁ…。」
ローズだいぶ酔ってるな。
「自身が無い‥ぼくはどうしたらいいのか分からない…。」
****
「今日はご馳走様でした。こんなお店に来たのは初めてです。」
猫耳の女性は優雅にお辞儀をした。
高級なレストラン。
普段はめったに来れないようなお店だった。
「そろそろ帰りますね。」
「シオリさん、私のところに泊っていきませんか?」
「どうして?」
「私の目を見てください‥今の貴方の気持ちはどうですか?」
「‥‥私は――――。」
****
「シオリ…ぼくは…ぼくは…。」
布団の中でぼくは泣いていた。
布団が急に重くなった。
気持ちが落ち込んだせいで、体も重くなったのだろうか。
「何してんの?私はここにいるよ?」
ぼくは布団をはねのけて、無意識にシオリを抱きしめていた。
「え?何?」
「ぼく‥シオリが好き‥みたい。夢じゃないよね?」
ぼくは細く柔らかい腕に包まれた。
「私も好きだよ…。」
消え入りそうな声でシオリは、ささやいた。
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