第14話 嫌な予感

王都の武器屋で杖を購入した。

杖の先端に綺麗きれいな青い石がついている豪華な杖だ。

石には魔力を増幅する力があるらしい。


金貨5枚、少し値段が高いと思ったが、”命には代えられないから武器は良い物を買っておいた方がいい”とローズが言っていた。

シオリは遠慮えんりょしたのか、金貨1枚のシンプルな杖。

前の依頼でお金はあるから遠慮しなくていいって言ったんだけど。

他にも、防御ぼうぎょ用の皮のよろい、短剣など。


「冒険者ってお金かかるんだな。」


「どんなお仕事でも最初はお金がかかるものよ。」

そりゃそうか。



****



「最近、モンスターが多くなってるようです。」

ギルドの受付リサが言った。

青紫の髪、白い瞳の真面目そうな女性職員。


「そんな事今まで無かったんですけど・・何か起きているのでしょうか。」

リサは不安そうな顔をローズに向ける。


「わからないけれど、何かあるのでしょうね。変な噂もあるみたいだし。」


魔王復活の噂か。

でも、ぼくたちには関係ない。

冒険者ギルド内ではその噂で持ちきりのようだ。

人がいっぱいで、こういう場所苦手なんだよな。


「大丈夫かな‥。」

シオリが心配そうな顔をしている。


「大丈夫だよ。多分噂だろうし。」


その時はぼくも噂だと思っていた。

後でこの事を後悔することになるなんて思いもよらなかった。



****



暗くひんやりとした洞窟。

「もうすぐ復活されるのですね・・。待ち望んでおりました。」


フードを目深に被った黒髪の男性が儀式を執り行っていた。

髪は腰くらいの長さ。

瞳は血のように赤い。

何かの祭壇がそこにあった。


伝説によると、この場所で魔王は勇者に殺されたとされる場所。

男性はうっとりとした瞳で石の祭壇を撫でる。

大きい杖を持った男は魔法を使うようだった。


「勇者の命を生贄いけにえに…。」

フフフ・・楽しみです。



****



ブルブル…。

悪寒がした。

何だろこの寒気は‥。

風邪でも引いたかな。


王都クリミアは、一年中温暖な気候で冬でもそれほど寒くならない。

今日はどちらというと暑いくらいだ。


「フォレスどうしたの?具合悪い?」

心配そうに声をかけるシオリ。


「何でもないよ。」

作り笑顔でぼくは笑う。

今日は早く寝た方がいいかな。

風邪とか引くと迷惑かけちゃうもんな。


「暗くなってきたし、今日は宿に戻って早く休みましょう。」

ローズもぼくの体調を気にかけたのかな。

こんな日は早く寝た方がいい。


両親が亡くなる少し前、同じような変な予感があった。

これはそれとは違うと思いながら、ぼくは家路を急いだ。





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