〜地下迷宮レストラン〜 ランチ売り切れ編

〜地下迷宮レストラン〜 ランチ売り切れ編


ウェイターのランバートが、

店の入口に置いてある、ランチタイムの看板を片付けて、店内に運び終えると店長のマーヤがランバートに声を掛けた。

「ありがとう!その看板かなり重いから助かるわ。」


「いえ、それより今日は、ランチの売り切れがなんでこんなに早いんですか?」

ランバートは不思議そうだ。


「なんかね、パンの実を納入する業者から電話があって、朝、パンの実の収穫に行ったら、全部採られてなかったんだって。それで、ランチ20食しか出せなくなったの。」


ウェイターのランバートは、

「そうだったんですか。」

深くうなづきながら、店長のマーヤに言った。


店長のマーヤは、カウンターからレジの近くまでやってくると、

「たぶんゴブリンの仕業って言ってたけど、仕方ないわ。あのパンの木は、誰の所有物でもないんだから。明日もパンの実の搬入は、無さそうだから、パンの実は明日もメニューに入れるの、やめましょう。」

とレジの近くにおいてあった注文タブレットを開けて、売り切れの登録をした。


マーヤの後ろから、慌てた声で走ってくる声がした。かなり遠くからだ。

「店長、店長!ランチの売り切れに納得出来ないって、ガーゴイルが暴れているんです!」

とウェトレスのソラが叫びながら、階段からこちらに走ってくるのが見えた。


「ガーゴイル?どんな感じ?」

店長は落ち着いてソラにたずねた。


「ただ、騒いでいるというか、大声でわめいているというか。」

ソラは、身振り手振りで説明した。


「そう、わかった。わたしが行くから大丈夫よ。テーブルはどこかしら?」


「えっと、12階の3区の4で、テーブルは114番です!」

ソラは、タブレットを店長に見せた。


「あっ!お一人様ね。かしこまりました。行ってくるわね。」


すると店長は、ブツブツなにかを言いながら、階段に向かって歩きはじめた。


「店長!僕もお手伝いします!」

と、ランバートが追いかけようとした。


店長が振り向くと、手にはトレイがあり、料理が置いてあった。


「あれ!ランチあったんですか?」

ウェトレスのソラは、驚いて、

トレイの上のランチを見て言った。


「マテイラ・デュプリケア。魔法で、ランチを複製したのよ。」

と店長。


微笑みを浮かべながら、店長は2人に言った。

「原料はともかくとして、食べられるでしょう。多分。」


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