「今更気づいてももう遅い。転生した世界で嫌われまくって孤独死」

あq

第1話

 「悪いが、君はレベル不足だ」

 「少しは自らを研鑽しようと思わないのかしら」

 「私だったら申し訳なくて自分から退団を申し出るところだわ」

 

 …何度目だろうか。僕は幾度となくこうやってギルドを追放されてきた。

 理由は全てレベル不足。自分が入った時には同レベル帯だったギルドメンバーがみるみるうちに成長していくのに対して僕は惨めなほどレベルアップが遅く、毎度所属ギルドの探索するダンジョンの適正レベルに付いていけなくなった。

 そんなふうにギルドを転々としているうちに付いた二つ名は、「派遣さん」。

 最初は僕だって一生懸命一人でレベ上げした。でも、差は広がっていき、自信は無くなっていった。

 もう、35だ。ギルドのメンバーに置いていかれることには慣れている。でも、人の期待に応えることを諦めたわけじゃない。

 それなのに、僕はいつも最後にはお荷物になって、見下されて、嫌われて、怠惰だとして捨てられてきた。

 妻にはあなたのレベルには合わせられないと言って二年前に出て行かれた。子供もいたが、僕のことを尊敬してくれた時期はとても短かった。


 誰も僕を努力家とは呼ばない。僕だって嘘でも言えない。そんな人間が生きていても、何も得られないだろう。

 噂では、この世界は輪廻転生があって、転生した時に特殊なスキルを得られるらしい。それは僕にとってはいいことだ。

 次の僕がいいスキルを付与されることを祈りながら死ぬこと。それが僕に許された最後の努力だ。






《あなたの死亡を確認しました》

《死亡時ステータスを表示します》

『LV:56 HP:370 MP:450 力:80 身の守り:65 賢さ:45 素早さ:120 運の良さ:25 』

『転生時獲得スキル:女神の加護(レベルアップに伴い味方の得る経験値がアップする)』

《次回の転生もお楽しみください。》

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「今更気づいてももう遅い。転生した世界で嫌われまくって孤独死」 あq @etoooooe

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