第6話

 今日はまた失敗した。鬼怒川にきて一ヶ月。あたしは今日で一ヶ月、ここで過ごした。だけど何もない。まだ何もできていなかった。ただ痛みに嘆くだけの毎日ではないけど、あたしは頑張りたいと思う。

 でもまだ何もできない。でも失敗を恐れてては何もできない。少しずつ頑張っていきたい。そう思ってる。小説を書くことで、もう少しで何かができる。そう思いたかった。三十年続けてきたことだった。ただどうしても今、あたしはくじけそうになる。時々、迷うこともある。迷ってきたことが、ある意味で、強さになると、誰かが言ったような気がする。

 でも迷って振り返るより、もう少し進んで、立ち止まりたい。そう言えば今日はごみの日で、あたしはこの街に来て、初めてごみを出した。なんかすっきりしたな。後は面白いと思ったドラマを、録ってみている。

 気に入ったのは、何個か見つけた。時間がある時にそれを見て、あとは小説と食事、作業といった感じで、生活している。でも時々、ふと窓の外を見ることがある。見える自然に心が癒される。一人だってこと、考えないで済むのだ。

 あとは話をする人ができた。もともとあたしは方言が強いから、これは意外に困ることがあるけど、今度はもっといい報告したい。あたしのことだから。

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