第7話 PHASE1 その3 まだ出会ったばかりだよね?

「うわぁ、シーツがびしょ濡れだな。」


「あはは……ごめんなさい……」


暫くしてから二人とも目が覚めた。そして冷静になって状況を確認した。


冬馬は夏子に迫られたとはいえ、合計5回も放出してしまった。


そして夏子もアレの最中は無我夢中だったが、


冷静になると恥ずかし過ぎて隠れたくなってしまった。




「いいから早くシャワー浴びてきた方がいいよ。それからシーツ、

洗濯しなきゃいけないんだから、早く行かないと……」


「そうだね。シャワー借りるね。」


夏子はシャワーを浴びに向かった。


(まさか、夏子とのまぐわいがこんなに激しいものになるとはな……)


そう思いながら冬馬はベッドから起き上がる。


すると股間に違和感を覚えた。よく見ると、


(これ、赤ちゃんの素の跡だな。すげぇ量出したからなぁ。)


冬馬は枕元に置いてあるウェットティッシュを取って自分の股間を拭いた。


(こんなに性欲ってあったかなぁ?もしかして夏子だからかな?)


そう思いながら再びベッドに腰掛ける。





「そろそろ夏子もシャワーを浴び終わったかな。」


「じゃあ、シーツ洗濯してくるから。」


「うん、ありがとう。」


2人は部屋から出るとそれぞれの行動を開始した。


冬馬は洗濯機にシーツを放り込み、回す間にシャワーを浴びた。


しばし休憩し、そして新しい服に着替えて部屋に戻ると、


ちょうど洗濯物が洗い終えていた。




「冬馬くん、今から買い物に行かない?」


夏子は服を着替えており、髪も整っていた。


「いいけど、どこに買い物に行くんだ?っていうか、帰らなくていいのか?」


「とりあえずショッピングモールかな。」


(聞いちゃいねぇし。まあいいか。)

「じゃあ行こうか。」




2人は手を繋いで外に出た。夏の日差しが眩しく、思わず目を細める。


そのまま最寄りの駅まで歩き、電車に乗って数駅先の駅に降りる。


そこからまた歩いて目的地に着いた。


ショッピングモールの中は空調が効いていて涼しい。




「まずは何か食べるか?」


「そうだね、お腹空いたし」


ショッピングモールの中にあるレストランに入り、食事を済ませる。


その後は雑貨屋や服屋を見て回った。



「ねぇ、下着選んでもらいたいんだけど、一緒に見てもらえない?」


「昨日知り合ったばかりで、いきなり下着選ぶってどうよ。


っていうか、もしかして今日も泊まるの?」


「別に都合悪くなかったらいいでしょ?ダメ?」


冬馬には断る術はなかった。


「はぁ……仕方ないか。」


そう言って、冬馬と夏子は下着売り場に向かった。




「ねぇ、どんなのが好き?」


「うーん、別になんでもいいよ」


「だって、冬馬くんが見るわけだし……」


夏子の顔が赤くなる。そして恥ずかしそうに俯いた。


その様子がなんとも可愛らしいと思った。


「こういうのは好み?」


夏子が持ってきたのは…、黒のレース地の下着だった。


(いきなり刺激が強過ぎるだろ)


「え?ああ、まぁ」


「ふぅん、こういうのが好きなんだ。」


夏子はニヤリと笑って見せた。


「じゃあ、これはどう?」


次に夏子が持ってきたのは、ピンクでフリルのついた可愛らしいものだった。


(意外と可愛い系のも合うんじゃないの?)


冬馬は照れているのか、何も言えなかった。



「ふぅん、こういうのも好きってわけね。下着、じっくり見れて満足した?」


夏子は、ちょっと意地悪モードが入って、ニヤついた顔で言う。

冬馬は少しイラッとしたがスルーした。


(でも、やっぱり可愛いなぁ。)



「まぁ、でも今日はこれぐらいでいいかな。」


夏子は、そう言いながらレジに向かっていった。そしてお会計を済ませる。


「他に買いたい物ある?」


「これでいいかな。冬馬くん、そろそろ帰ろっか。」


ちょっと名残惜しい気もしたが、二人はそのまま帰ることになった。



帰り道の電車の中、冬馬は今日あった出来事を思い出していた。


(まさか夏子って、あんなに性欲が強いとはな……)


冬馬は改めてそう思った。


夏子の身体は最高だったし、行為自体もすごく気持ちよかった。


だが、正直まだ足りないという気持ちもある。

出来るなら何度も相手をしてもらいたい。

そして、もっと色んなプレイをする事が出来たならとも思う。


しかし、冬馬にとって、もう一回したいとは言いづらいものがあった。


今まで女性と接する機会も少なかったし、

どう接したらいいかもよくわからない様では

無理のない事だが。


そう思いながら夏子の方を見ると、彼女はすやすやと眠っていた。

会って数日の男の横で、安心し切って寝顔を見せている。

図太いと言うべきか、いや、信用されていると思うべきか。

舐められている、ではないよね?



「全く……」


冬馬は呆れたように呟いた。


夏子は眠っている。


しかし、冬馬は寝ずに彼女を見守っている。


そして彼女が目を覚ますまで、

ずっと待ち続ける。

まるで忠実な騎士のように。




暫くすると、夏子がゆっくりと目を開けた。


「おはよう」と声をかける。


「ん、おはよ」


と彼女は返事した。そして再び目を閉じる。


「おい、もう到着だぞ。」


「うん、知ってる。」


「じゃあ、起きろよ。」


「うーん、もうちょっとこのままでいたいかな。」



夏子は俺に抱きついてくる。

その豊満な胸が押し付けられるが、俺は平静を装っていた。


だが内心ドキドキしているのを悟られないように必死だった。


「ったく、しょうがねぇ奴だな」


俺は呆れながら言った。しかし本当は内心嬉しくてたまらない。



「ふふっ、ありがと♡」


と夏子は笑った。


すぐに駅に到着したので、二人は電車を降りる。


「あ、ちょっと待ってよ〜」


夏子も慌ててついてきた。そして俺の隣に並ぶ。


その後もたわいない会話をしながら、二人は帰路につくのであった。

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