第5話(4)色々ととんとん拍子に

 凛たち五人が揃って驚く。


「驚き過ぎやろ!」


「ま、まさか、こんな所にいらっしゃるとは……」


「灯台下暗しどすなあ……」


 凛の横で心が呟く。


「バレてしまったのなら致し方ありませんね……」


 白衣の女性が立ち上がる。


「バレてなかったけどな、あたしがバラしてもうたけど……」


 彩が呟く。


「わたしが貴女がたにゲームコントローラーを送りつけた張本人です」


 白衣の女性が眼鏡をクイっと上げる。


「貴女が……お名前は?」


 秀が尋ねる。


真白博子ましろひろこと申します」


「真白さん、どうしてボクらにゲームコントローラーを?」


「ふむ……」


「そもそもどうして作ったのですか?」


 真白と名乗った女性に秀が重ねて問う。


「……なんとなく」


「な、なんとなく⁉」


「作ってみたら出来ちゃったので……」


「で、出来ちゃった⁉」


「それをなんでまたウチらに?」


 戸惑う秀の代わりに躍が尋ねる。


「関西のeスポーツ界で比較的目立っていて、若い女性……」


「ほう……」


「……と、検索にかけたら上がってきた人たちに対して適当に……」


「て、適当に⁉」


 躍が驚く。


「……ランダムに」


「言い直してもアカンですよ!」


 躍が声を上げる。彩が真白を見つめる。


「アンタ……そういう名前だったんやな」


「ええっ⁉ 彩さんもそこからですか⁉」


 躍がさらに驚く。


「長いこと顔見知りではあったんやけどな」


「まあ、それはいいとして……狙いはなんですか?」


 輝が問う。


「狙い?」


 真白が首を傾げる。


「我々を戦隊ヒーローに仕立てあげて、何をさせるつもりなのですか?」


「う~ん……特に理由などはありません」


「な、ないのですか⁉」


「強いて言うなら……戦隊ヒーローの科学者なる者になってみたかったからですかね」


「はあっ⁉」


「孤高の科学者って聞こえが良いですけど……やっぱりどこかで俗世間との繋がりを持っておきたいというか……流行には乗っておかないと……」


「流行というかもはや飽和状態どすけど……」


「そこはゲームコントローラーで変身というところで独自性を出せるかなと……」


 心の呟きに真白が応える。輝が声を上げる。


「わ、我々、完全に巻き込まれてしまっているのですが⁉」


「それもまあ、王道かなっと……」


「王道⁉」


「ええ、期せずして、大きな力を手にした五人の美少女たち……ヒーローっぽいでしょ?」


「で、でしょって……」


「美少女か~なんや照れるな~」


 躍が後頭部を掻く。


「照れるな!」


「ホンマのことを言われてしまうと……」


 心が両頬を抑える。


「謙遜しろ!」


「不思議と悪い気はしないね」


 秀が髪をかき上げる。


「不思議に思え!」


「「「ふふっ、ふふふ……」」」


 躍と心と秀が笑う。輝が額を抑える。


「ダ、ダメだ、こいつら……凛!」


「お、王道を往く戦隊ヒーロー……カッコいい……」


 凛が目をキラキラと輝かせている。


「ああ! こいつが一番ダメだ!」


 輝が頭を抱える。


「博士!」


「博士って呼んだ⁉」


 凛の言葉に彩が驚く。


「なんでしょうか?」


「アタシたちは拠点が欲しいと考えているんですが!」


「ここで良いんじゃないですか?」


「ああ、なるほど!」


「良いですよね、マスター?」


「……」


 真白の問いかけに中年の男性が頷く。


「決まりました」


「やったあ!」


「おいおい、あたしの憩いの場を荒すなや!」


 彩が声を上げる。凛が彩の方を見る。


「彩さん!」


「な、なんや⁉」


「アタシたちのアンバサダーになってもらえませんか⁉」


「ア、アンバサダーってなんやねん⁉」


「……さあ?」


 凛が首を傾げる。


「自分でも分からんもんを依頼すんなや!」


「なんかカッコいいかなって……」


「ふんわりしとんな!」


「それでは、アドバイザーをお願い出来ませんか⁉」


「似たようなもんちゃうんか⁉」


「とにかくアドバイスが欲しいんですよ!」


「アドバイスって言われてもな……」


 彩が後頭部を掻く。


「ダメですか⁉ そ、それなら、司令官をお願いします!」


「し、司令官⁉」


「はい!」


「悪くない響きやな……いつまでもスカルレディ言うてるわけにもいかんし……」


「どうですか⁉」


「おっしゃ、司令官になったろうやないか!」


「ありがとうございます!」


 凛が彩に対し、丁寧に頭を下げる。

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