第4話 10月
いつかの俺視点
運動会、
普通ならもっと時期は早いだろうが、俺が居るせいで時期がずらされに、ずらされている。
「きゃー可愛い!!」
「あの子よ!!」
「優くんこっち向いて!!」
今でも、覚えている。一般開放という当時には難しい言葉を覚えてしまったくらい、
男性が超少ないこの世界では、男性は常にパンダである。そんなパンダが初めての運動会に参加するから、多くの女性が俺を見に来ていた。
そして、当時はまだ見られることに違和感がなかった俺は、
「頑張るよー!!」
俺は手を振りまくっていた。
「きゃー!!」「可愛い!!」「私の子供にしたい!!」
「結婚しよう!!」
今思うと、この運動会で逮捕者が出た理由が分かった。
恥ずかしいけど、
「アンタばっかり目だってずるい、」
今まではそんなことは言ってこなかった、秋ちゃんが俺に妹みたいなことを言ってくる。
「でも、秋ちゃんの方が足が速いから大丈夫だよ」
「・・・まぁ、そうね」
だが、
ーーー
「えっー、優くんじゃないの」
「優くん負けちゃったけど、かっこよかったよ」「次は勝てるよ」
負けたのに、みんな俺のことばっかり見ていた。
そして、
「秋ちゃん!!」
秋ちゃんはは泣いて、走って行ってしまった。
だが、純粋な俺は追いかけた。
「なんで、来たのよ」
「お、俺、秋ちゃんに負けた」
「そうよ!!私は勝ったのよ!!なのになんでみんな」
理由は流石に分かっていた、俺が男性だったから、みんな俺の勝つ所が見たかったんだ。
でも、負けた。でも結局俺を見たかったのは変わらない。大人はよく言っていた。頑張ればみんな一番だって
「違うじゃないか!!」
「どうしたの」
秋ちゃんがビックリするほど思わず叫んでしまった。
「みんな一位じゃなかったの?頑張ればみんな一位じゃなったかの?
なのに、秋ちゃんのことみんな見てなくて」
「・・・」
気がつくと秋ちゃんは悩み、俺の方が泣いていた。
「なんで、秋ちゃんあんなに速いのに、一位だったのに、なんで秋ちゃんは褒められないの?なんで俺の方だったの、秋ちゃんの方が早くてかっこいいのに、」
俺は悔しかった。悲しかった。俺は別に、一位は取りたかったけど、秋ちゃんは走るのが好きで、普段からよく走っててなのに、
「馬鹿だね、優くんは」
秋ちゃんは俺の涙を取るように手をふれて
「私が一位なのは変わってないよ。」
「そうだけど、だけど、」
俺は泣き続けた。
心配して探しくれた、先生と春に見つかった。
俺たちは迷子扱いになっていて、凄く心配をかけたみたいだった。
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