通りゃんせの解釈

篝火

第1話 通りゃんせ

通りゃんせ 通りゃんせ♪

ココは何処の細道じゃ♪


稀に口ずさむ、この曲……。

考えると怖いと思ってしまう……。

「通りゃんせ 通りゃんせ……」

「どうした?」

「……いや、『通りゃんせ』ってあるだろ」

「在るな、確か……わ……わらべ……童謡どうようのアレだろ」

「そこは、『わらべうた』って言おうぜ」

夏の日差しが傾きかけたとある高校の教室で、俺と友人は話していた。


「それのさ……『通りゃんせ』なんだけどな、アレってマジレスすると怖いよなって話だよ」

「どこがだよ?」

理解できないのは、認めよう……俺も最初は気にしてなかったことだしな。


「良く考えてくれ、『行きはよいよい』って言っているのに、『帰りは怖い』だせ、もしかしたら、『生きはよい』『宵か』『りは怖い』……とも読めるんだ。」

「?」

まったく理解できないって顔をする友人に、どうやって説明しようか悩む。


「まずは、『生きはよい』だか、『生きること』を意味してるとしようか、次に『宵か』だけと、そのまま宵……つまり、『黄昏時』を意味してると考える。」


一呼吸ついて続きを話す。

「最後に『りは怖い』を『選ぶ怖さ』を意味してると仮定すると……『黄昏時に生かす者を選別する恐怖』になる。」

「……!もしかして、選ばれなかった子は……!」

「……たぶんな……」


通りゃんせ 通りゃんせ

ココは何処の細道じゃ 

天神さまの細道じゃ

ちょっと通してくだしゃんせ

御用のない者 通りゃせぬ


この子の 七つのお祝いに

お札を納めに 詣ります

行きはよいよい

帰りは怖い

怖いながらも

通りゃんせ 通りゃんせ


「『通れ 通れ』って言ってるのに、『通れない』って普通言うか?」

「そう言われると、オカシイな」

「そこで『お札』とは、『命』の事だと考えたんだ」

「おいおい、さすがに言い過ぎだろ……」

「だから、『七歳の子供の命を黄昏時に生かすか殺すか決める儀式を行う為に通して欲しい。』って事になると解釈するんだよ」

「ぶっ飛んだ発想だな!?」

「そうすると、少しだけ辻褄が会うんだよ……」

「そこまで言われると、さすがに理解わかるけどな……」

「これについては、素人の考えだから本当の話……解らないけどさ、やっぱり怖いよなって事になるな」

そう言って俺は笑うのであった。


                (完)

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