第4話 きっかけ

 俺は童貞だ(唐突)。


 まぁ別に女体に興味がないわけじゃないしおっぱいだって触りたい。


 江島のおっぱいは柔らかいと断言しよう。


 おっぱいというのはあれだ。


 プリンより柔らかい。


 めっちゃ水入れた水風船ぐらいふにゃふにゃなのだ。


 江島のおっぱいは女子からも人気で女子からもセクハラされている。


 男子からの視線はきついし、江島は貧乳になりたいと願っていた。


 今現在、登校中。


 「お前も、私のおっぱい気になるか?」


 「なんだよ藪から棒に」


 「いや、お前は顔とか目を見て話すから私のおっぱいに興味なんてないんじゃないかなぁって」


 「別にいいだろ」


 「よくない」


 「何むきになってんだよっ」

 

 「…………お前の前くらいでは女のあたしでいたいんだよ、わかれ、バカ」


 「ふーん」


 「ふーん、ってお前なぁ」


 「まぁべつに」


 俺はそっぽを向く。


 「?」


 「気にならないわけじゃないし、おっきいおっぱいは好きだ」


 「ふうん、そっか」


 「というか、お前は美人だからな、そこは誇っていいと思うぞ」


 「本当に!?」

 

 「性格はちょっとアレだが」


 「あれってなんだよ!もう」


 そういってポカポカと軽く殴る江島。


 痛くない。


 俺は江島のことを女として意識しているのかと言えば半分半分というのが本当だ。


 まぁたしかに彼女にしたいランキングベスト10には入るだろう。


 なぜか知らんが俺へのアプローチとかすごいし。


 なぜか最近は機嫌が良くて、俺におっぱい当てるようにしがみついてくるし。


 同級生のモブからは嫉妬の目線を浴びるし。


 俺はそれを「どうだ、うらやましいだろう~うぇええい」というふうにはねかえしている。


 なんか洋画に出てくる悪役のような気分になれた。


 まぁそれはそれとして、月島茲という女性のプロポーションも俺は嫌いではなかったし、引き締まっていてどこかいい匂いのする体は男子からの憧れだろう。


 今思うと性格はきついけど。


 「じゃあ、またお昼に」


 「あぁ」


 江島と別れて、俺が登校すると、何やら学校の方が騒がしかった。


 なにやら月島とヤンキーがもめている。


 「いちいちうるせぇんだよ、このアマ!」

 

 「なによ、本当の事でしょ。やれるもんならやってみなさいよ、この底辺ヤンキーが!」


 「んだと!」

 

 なにやら月島とうちの高校に少なからずいるヤンキーが服装や髪型を注意されたり普段の素行(たぶんタバコやら酒とかをやってバイクを走り近所迷惑になっている噂を耳にしたことがある)を注意されてトラブルになっているのだろう。


 なんで一年というのはこうも……なんというか、眩しいんだよなぁ、いろいろと。


 俺も高校に入ったばかりの頃は、俺もやんちゃしたいなぁという気持ちが全くなかったわけではない。


 人込みに紛れて俺は様子を伺っていたが、ヤンキーの一人が月島に暴力を振るおうとしていた。

 

 俺はそれを見過ごせず、ガシッと奴の拳を止めた。


 「女子にさすがに暴力を振るうのはやめたほうがいいぞ」


 「んだと、てめぇ」


 「先輩の言うことはちゃあんと聞くもんだぜ、ボーイ」


 その後も奴の暴力を俺は防ぎきり、俺は説教をした。


 そして渋々奴ら三人はすごすごと自分の教室へと入った。


 「大丈夫か?月島」


 「え?あぁうん…………ありがと」


 「別にいいってことよ…………お前も正論だからってなんでもかんでもきつく言うのはやめたほうがいいぞ」


 「あ…………うん。ごめんそれは反省している」


 なんかしおらしいというか、顔が赤いな。


 まぁ剣道で鍛えた俺の鋼の肉体に傷一つつけられないであろうヤンキーの存在など知ったこっちゃないが。


 俺はそうして自分の教室へと向かうが、今日中にそのうわさは広がり、江島は「大丈夫か?怪我してないか?」と口うるさく聴いてくるのだった。


 …………まぁ悪いことはしていないし、別にいいだろう。


 そうして俺の高校二年のじめじめとした季節が終わりを迎え、暑い夏の日を迎えようとしたのだった。


 

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