くっころ対策会議

タヌキング

会議を始めます

魔法使いのカレンを申します。オカッパ黒縁メガネのスクール水着の魔法使いです。スク水のことに関しては詮索しないでください。

今回、王城の一室を借りて、私を含めた5人の手だれの女冒険者が、ある議題について話し合います。

その議題というのは【昨今、増加傾向にある女性冒険者のくっころ事案の対策】です。


「それでは会議を始めます。会議進行と書記はこの私、カレンが務めさせて頂きます。」


進行と書記を私がするのは少々骨が折れますが、他の方はやってくれなさそうですし、ここは我慢します。


「つーかよぉ、こんな会議必要か?」


そう言い出したのは女戦士のアンナさん、赤髪の体がバキバキの女戦士さん。女戦士らしく赤いビキニアーマー着てます。

会議開始から会議を否定する発言とかやめて欲しいですね。マジムカつきます。


「会議は必要です。これ以上、女の冒険者がくっころされると冒険者稼業のイメージが悪くなり、冒険者の減少に繋がります。」


分かったか、この脳筋。


「ちっ、弱いからくっころされんだろ。大体、最近の冒険者は弱っちいのが多いんだよ。ゆとり世代がよぉ。」


一理ありますね。自分の身の丈にあった場所で冒険せずにゴブリン巣、オークの集落なんかに近づくから、くっころされるんですよ。


「アンナさん、発言は挙手でお願いします。」


「へいへい。」


つまらなそうに口を尖らせるアンナさん。

脳筋さんは少し黙ってもらわないと困りますね。


「はい。」


「はい、エルフのミストさん。」


ちゃんと挙手して発言しようとしてくれているのは、エルフのミストさんです。

エルフらしく耳が長く、スタイル抜群です。年齢もエルフらしく300歳ぐらいですが。


「冒険者は危険な仕事ですから、くっころを未然に防ぐのは難しいかと、ですから私からはアフターケアを提唱したいと思います。」


ふむふむ、なるほど。流石は長年生きているだけあり、素晴らしい意見が聞けそうですね。


「くっころされそうなところに、コンドームの自販機を設置するというのはどうでしょう。」


……すげぇ発言が出てきたな。


「これにより、くっころによる腹ボテを回避し、望まない子供が生まれることを回避することが可能です。」


「あ、あのミストさん。自動販売機をモンスターの居る場所に設置するのは困難かと、仮に設置出来たとしても、ゴブリンやオークなどがくっころの前にコンドームを装着してくれる筈もありません。」


「それもそうですね。良い作戦だと思ったんですが。」


マジかよ。300歳も生きてても変なこと言うんですね。もっとまともな意見を聞きたいですね。


「はい。」


「はい、僧侶のソフィアさん。」


青い長いサラサラ髪の僧侶のソフィアさん。神に使える者として、きっと良い意見を言ってくれる……。


「はぁはぁ……私、昔に触手系のモンスターにくっころされそうになったことがあったんですが……その時の快感が忘れられなくて……えへへ♪」


「ソフィアさん、もう発言しないでもらっていいですか?」


このド淫乱僧侶がよ。煩悩まみれじゃねぇかよ。もう教会に引きこもってオナって寝てろよ。


「全く、しょうがない奴らだな。これじゃあ会議が進まんだろ。」


ふっーと、ため息つく今回この会議を開くことを打診してきた金髪碧眼の王国直属騎士団長のリサさん(32歳)が満を辞して発言してきました。

流石にこの人はまともな意見を言ってくれる筈です。


「初心者へのくっころに対する危険の呼び掛け。危険講習の徹底、くっころ危険地区の地図の作成、またくっころモンスターの撲滅強化月間の実施。こんなところか。」


凄い、流石は王国随一の騎士ですね。

それに比べて他の三人は役立たずにも程があります。何しにきたんだよコイツら?

まぁ、正直ここまでくると会議なんかする必要があったか?とも考えそうになりますが、それを考えたら負けですね。


「さて、これで建前上の対策は出揃っただろう。実はここからが本題なんだ。皆心して聞いて欲しい。」


リサさんの神妙な顔に、私も含めた四人にも緊張が走り、会議室に重苦しい雰囲気が流れます。

一体本題とは何のことでしょう?

そうして次にリサさんが口を開いた時、我々は唖然としてしまったのです。


「私はぶっちゃけ、くっころされたい!!」


……はい?

私は最初冗談を言っているのかと思いましたが、リサさんの顔は真剣そのもので、その気迫たるや、今から親の仇でも倒しに行こうかと言わんばかりであります。


「王国の為に身を粉にして働いて、気がつけば齢は30を超えていた。恋人も見つけて結婚もしなければならないが、とりあえずモンスターでも良いから抱かれたい!!乾いた体に潤いをもたらしたいのだ!!」


それは魂の叫びでありました。リサさんの心がそのまま言葉になった。言うなれば心言であります。


こうして静まり返った会議室の重苦しい雰囲気を最初に破ったのは戦士のアンナさんでした。


「リサさんよぉ!!……分かるわ。」


涙ながらに同意の意思を示すアンナさん。普段の男勝りの態度は何処へやら、モジモジしながらまるで乙女のようです。


「こんなバキバキな体になっちゃったら、もう男達も相手してくれないしぃ、最近ご無沙汰なんだよー!!」


悲しい、あまりにも悲しい。女戦士の性事情。

アンナさんの後は、ミストさんまで泣き始めました。


「わ、私なんか、300歳ってだけで男からは敬遠されてるのよ!!言っておくけど300歳なんかエルフだとピチピチなんだからね!!……里に帰ろうかしら。」


エルフすら故郷に帰りたがるとは、異種族恋愛も大変なんですね。

と、ここで再びリサさんが口を開いたんですが、こんなことを言い始めたんです。


「ソフィア、先ほど触手プレイをされかけたと言っていたが、それは何処なんだね?」


「えーっとですねー。」


おいおい触手プレイに興味津々なんかーい。騎士団長がコレなら、こりゃ王国陥落の日も近いな。

チッ、このままじゃ埒があかねぇ。大体くっころを防ぐ為の会議なのに、いつの間にかくっころされたい会議になってんじゃないですか、

ソフィアさんの触手談義に他の三人が目を輝かせ始めたので、ここは私が注意せねばなりますまい。


「やめなさい!!神聖な王城の一室で何を話してんですか!?この発情期どもが!!」


私のこの一喝に、皆は驚いた顔をしましたが、リサさん(32歳)が頬を膨らませて不服そうにこう言うのです。


「そんなこと言ってカレン君だって、抱かれたいんだろ?そうなんだろ?」


マジでゲスだなこの騎士団長。だから誰からも相手されねぇんだよ。

こうなったら私の秘密を暴露してやりましょう。


「私、処女なんで、触手ごときに処女はやれませんよ。」


「す、すいません。」


やりました、騎士団長を黙らせることに成功しました。でもなんでだろう?なんで両目から水が出てくるんだろう?


こうして世界一不毛な会議は幕を閉じ、とりあえずこのメンバーで今度街コンに行くことに相成りました。


くっころなんかに処女はやれねぇからな。


終劇











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