第8話 だからプロット書きなさいって話
はい、はい。分かってるんですよ。
耳タコなんですよ。
でも、書いたところで、最初から思いつくほど頭良くないんですよ。周回遅れで気付くんです畔戸は。仕方ないじゃないですか。
(開き直り)
なので、書きながらアップしてる人すごいと思うんですよね。
だって畔戸が書いたら、あー、これ違った。あれ? 話動かないからこれ変えよう。これもー。あれもー。それもー。が発生するので最後まで出来上がってからでないと、とても公開できる代物にはなりません。
かくして、創平は陽夏の元に駆けつけ、二人は和解し、ゼロ状態に戻ります。
とは言え、陽夏はしたい盛りの16歳。やっぱり創平の事が気になります。
チューもした。仲直りもした。また調律にも来てくれる。で、もう一声欲しいんですけど、品行方正な
普通ならここでやっちゃうパターンです。それがBLの定石です。で、楽屋エチかよー! とか言って盛り上がるんでしょう、たぶん。
でも陽夏は馬鹿なんです。
ノンケの陽夏は、男同士の仕方を知りませんでした。
おしまい。
ふー。終わった終わった。
中学生だし、友達いないし、陽夏なら充分にあり得る。自爆寸止めとかウケる。
でも、当初の予定通りB止まり。はっはっは、可哀想。
——と、畔戸にイタズラ心が芽生えました。
最後、拗ねている陽夏に「これCフラットじゃん」って言わせちゃおう。
音楽ネタだし、何言ってんの? と思いつつ、創平なら最後にはそれがBだって気づくよね。てか、今時の中、高校生にAとかBとか昭和のおっさんみたいな言葉分かるのかな?ま、いっか。陽夏は常日頃からおっさん、おばさんに囲まれているから、誰かが教えたってことで。
ふふふーん。
その後、創平は廊下を歩きながら陽夏の言葉の意味を考えます。
Cフラット……Cフラット……
Cフラットの……恋?
何じゃそれ? このアホっぽいタイトル。
自分で言ってて吹き出したわ。
このアホっぷり、そのまま二人が見ていたドラマのタイトルにしちゃえ。
と、そこで、唐突に、三度目のアップデートが走りました。
音楽ドラマが流行ったらクラシック業界は企画コンサートとか絶対やるはず。そして、ここ音楽ホールだからポスターぐらい貼ってあるはず。創平はそれを見てCフラット=Bってことに気づく……よし。それで行こう!!
二人の会話シーンにタイムスリーップ!
そんなこんなで、名もなきドラマはものの数分で社会現象を巻き起こしたトレンディードラマに変身しました。
でもって、この作品のタイトルはもうこれしかない。
というわけで、エピローグとタイトルが一気に固まりました。
小説の顔となるタイトルに二人がエロをしないネタバレを仕込んだので、もう誰にも結末は動かせません。
BLの定石であるエッチをした途端、物語は崩れてCフラットの恋ではなくなるからです。
畔戸が確信犯だった、と言ったのはこのためです。
はーあ、スッキリした。
憑き物も取れてすっかり浄化された畔戸がいました。
終始こんなノリで1ヶ月ぐらいで出来上がったCフラットの恋は、その後、放置期間と自己校閲を経て投函されました。
とは言え、何しろ設定がこれだったので、一次すら通るわけないと畔戸は特に発表とか気にしていませんでした。言いたいことは言ったし、書きたいこと書いたし、ですっかり満足してたっていうのもあるんですけど、攻めが中学生でB止まりですよ。
うわ何コイツ! 賞取る気ないだろ!? って思われて終わるでしょ……普通に考えたら。
しかし、現実は小説よりも奇なりでした。
ある日、畔戸の携帯に知らない番号から電話がかかってきたのです。
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