3章第3話 廃墟の町で魔物と戦う

 アマクサ王子がメサイア国のアメ地区にいる頃、この私レーモンはストーム王子の部下である猫耳の20歳の女の子、ウィンドウと馬車でメサイア国に向かっていた。


 ウィンドウは私の護衛ということで行動しており、私の事を本気で守るつもりはなさそうに感じる。


 そんなことはどうでもいい。どんなに強い魔物が現れようと私自身の力でどうにかするのみだから。


 ウィンドウはストーム王子の部下の1人に過ぎないがよく見れば美少女でお姫様にでもなれそうな感じ。


「ねえウィンドウ?」


「どうしたんだ?」


「ウィンドウはお姫様になろうって考えないの?」


「私が? そんな考えなんてない」


「そう……なんだ」


「私は闇組織の亜人だったんだ。幼い時に帝国に村を襲われて、仲間は奴隷にされて、命からがら逃げることが出来た。それから私は過酷な環境で生きた」


「そんなことが……この世界で」


「当り前の話だって。そんな時に闇組織の人間に拾われて育ったって感じだ」


 ウィンドウもこの世界で苦労したのだと思うと私自身も辛く感じる。


 今は楽しくこの世界でやっているがその後のことを考えるとどうだろうか。何が起こるか分からない異世界でこれからも楽しくやっていけるのだろうか。


 きっととてつもないことが起こるのではないだろうか。そのように感じてならない。


 何しろ私はこの世界では両親から逃げてきた。そんな両親と全面戦争にもなればどうなるだろうと思う。


 そんな環境から逃れるためにも仲間は作っておきたいと思っている。


 そんなことを思っているとメサイア国に着いた。


 意外にもスプリング王国から馬車で移動して1日で着く距離。しかし城下町は廃墟となっており人が住んでいるとは思えない状態。


 門番がいないのはいいが入ったところで何もない。


 お店があるというわけでもないし宿屋もない。魔物もいるならダンジョンのようなもんだ。


 そんな場所を私とウィンドウは降りて歩き回る。


 すると早速ミイラがあらわれる。現れたミイラは10体。10体のミイラは容赦なく私とウィンドウに襲いかかる。


 私はショットガンを手に取って魔力を消費して撃ち続ける。消費した魔力はドレスを着ていることで自動回復するため問題ない。


 しかしうしろからの攻撃がくると私はすぐに反応してかわしショットガンのカウンター攻撃を放つ。


 ゾンビの弱点は頭だろうと思い私はショットガンでミイラの頭を狙いまくる。予想通り頭を撃ちぬかれたミイラは即死。私は10体のミイラを倒した。


 しかし、次に出てきた巨大ハエに気づかなかった。


「巨大ハエがいるなんて」


 このハエは身長1メートルで攻撃力や防御力は大したことはない魔物だが、集団で空を飛んで襲っては厄介。



 ウィンドウは弓矢で応戦するも数でおいつめられ連射出来ず、巨大ハエの攻撃をくらう。


 私はウィンドウを助けるためにショットガンで巨大ハエ達を連射して撃つ。


 巨大ハエ達は私のショットガン攻撃で逃げていく。


 これでなんとかなったと思ったら、そう簡単に休ませてはくれないみたいだった。


「レーモン、まだ油断ならない」


「この町の魔物どうなっているの?」


「だからストーム王子の言った通りでこの国に行くべきではないと」


 なんとゾンビと呼ばれる魔物とミイラがそれぞれ3体ずつ、合計6体の魔物が現れた。今度はミイラが包帯攻撃をしてくる。


 その包帯は鞭のような攻撃だ。私は1体の包帯攻撃をかわしてショットガンで反撃。ミイラ1体を倒す。


 しかしピンチだったのはウィンドウの方だった。


 ウィンドウはミイラの包帯巻き付きをくらって1体のミイラに両腕を縛られ、もう1体のミイラにお腹を縛られた。


 ミイラが縛ったウィンドウの腕とお腹は露出している部分。そこを縛られた時のダメージは大きい。


 縛っただけでではなくミイラ2体が引っ張ることでウィンドウが苦しみだす。


「うっうううう……」


 縛られたウィンドウの腕とお腹が赤くなり血が出る。


 そんな状態でゾンビがウィンドウを襲ってくる。ウィンドウの傷口を狙って毒爪を体内に入れるつもりだ。


 しかしそんなことをさせないのがこの私、レーモン。


 私はドレスのスカートの裏に隠していたナイフを取り出してゾンビ2体を斬りつける。


 そしてミイラの包帯を斬りウィンドウを助ける。


「大丈夫? ウィンドウ?」


「うん、苦しかった」


 するとウィンドウは弓矢を手に取ってミイラ2体に構える。


「よくも痛めつけてくれたわね。これはお返しよ」


 ウィンドウは弓矢を放ってミイラ2体を倒した。


 戦闘が終わって魔物の気配がなくなると、私は回復魔法を唱えてウィンドウの傷を治す。


「ありがとうレーモン」


「いいよ。それよりも休める場所が欲しいね」


「魔力が無限大にあって傷とか体力も自動回復なら睡眠の必要はなさそうだけど」


「うーん、そうでもないんだよね。眠気とか疲れは睡眠じゃないと治せないよ」


「ここだと野宿になるかも」


「ベッドとかないかな?」


 私とウィンドウはそんなことを思いながらメサイア国を探索する。


 次第に日が暮れてきた。


 私は用意してきた魔力ランプで灯りをつけると建物の地下に入る。そこは汚いが転生して幼い時に学んだ清掃スキルで地下室を綺麗にした。

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