2章第5話 旅客船で贅沢

 巨大イカ6匹を退治した私は、船員によって特別ルームに招かれた。


 そこはキングクラスの部屋。


 ビリヤードにダーツ。様々なボードゲーム。女性船員や男性船員と一緒に遊ぶことだって出来るし、アーチェリーも出来る。


 さらに花の香りが良いジャグジーに入ることも出来ることと、布団かベッドのどちらかで寝ることが出来るという寝る時の心地よさも体感できる。


 また、その時に海の匂いを体感できることもいいところ。外にはプールもある。


「すごい贅沢な部屋ですね。こんな部屋をよろしいのですか?」


「よろしいのですよ。あのままではこの船は巨大イカに蹂躙され、この部屋もボロボロ状態、いいえ、この船は沈んでおりました。その危機を救ってくれたのですからこれ以上のお礼はありません」


「はあ~、ではおいくら払えば」


「お金はいりません。むしろこの部屋を提供しても足りません」


「そんなに……ですか?」


「はい、それにその格好は名のある名家の方かと。そのような方にこの窮地を自ら命がけで救っていただいたのにこれくらいのお礼が出来ないようなら我ら船員の立場がありません」


 ここまで言われては私も断れない。そもそもお金を5年間節約し続けて大金を貯めこんでいただけでこの黄色いドレスや黄金のティアラを買っただけで私はお嬢様じゃない。また、水色のガラスの靴も履いているがどれも自腹。


 単なる一般市民なのにお姫様と勘違いされている。しかし船員の気持ちに答えてここはこの部屋を楽しもうと思う。


「分かりました。それではロイヤルミルクティーをお願いします」


「夕食はどうなさいますか?」


「まだお腹が空いておりませんので、お腹がすいたらお呼びします」


「かしこまりました。何か御用がございましたら、こちらのベルを鳴らしてください」


 私は船員からベルを受け取った。


「ありがとうございます」


「それでは失礼いたします」


 船員が去ると、私は早速ジャグジーの部屋に入り、着替え場で黄色いドレスと黄金のティアラ、水色のガラスの靴を脱いで裸になる。そしてジャグジーに入る。


 ジャグジーは最高だった。この世界で本来風呂に入れるのは金持ちか貴族か王族あたりなのにジャグジーはその中でも贅沢すぎるもの。


 おそらく王族か金持ちしか入れないだろう。そんな世界でジャグジーに入れるのだからこれ以上に嬉しい事はない。


 私はジャグジーで疲れを癒す。とはいえ、ティアラや黄色いドレスの効果で自動回復しているため、本来はジャグジーとかで癒されるなんてことしなくても良いのだが、気持ちよい体験はしておきたいもの。


 私はジャグジーで満足するまで入り続けた。


 そして次はプール。プールは外にある半径10メートルの円いプールで深さは1メートル50センチ。


 温水プールで水温31度。水着を私は持っていなかったが、レンタルで借りられた。


 145センチでやせており、胸も大きくない私にはビキニは似合わないため、ワンピース水着に限られる。


 私はお姫様らしく、花柄のワンピース水着を着る。


 そしてプールで楽しむ。そろそろ日が沈む頃で夕日が綺麗だった。


 私は1人でプールを楽しむが、せっかく女の子に転生したのに女友達とか運命の王子様のような人と楽しめていない。


 だからそういう人達と楽しみたと思うようになった。


 プールを楽しんだ後は夕食。夕食は高級サーロインステーキ。


 グラムで選べるようで私は一番小さい150グラムを選んだ。理由はそこまで食べたくないことと太らないために軽食で済ませたいから。しかしサーロインステーキやコーンスープ。またダイエットにいいキャベツのサラダといった高級料理。


 これらは食べたかった。これで太ってもプールで泳げばまた痩せるだろうと思うし、戦闘していればやせる。


 私はジャグジーに入っている間に船員が持ってきてくれたロイヤルミルクティーを飲みながらベルを鳴らして船員を呼ぶと、サーロインステーキ150gとキャベツのサラダ、コーンスープを注文した。


しばらくロイヤルミルクティーを飲んで1人ビリヤードをしながら待っていると、船員がサーロインステーキとキャベツのサラダ、コーンスープを持ってきた。


「お待たせしました。サーロインステーキとキャベツのサラダ、コーンスープでございます」


「ありがとうございます」


「ごゆっくりどうぞ」


 船員が部屋を出ると、私は食事を楽しむ。まずキャベツのサラダはキャベツが千切りでしっかりとしたドレッシング。食べてみたところジューシー。レモンの風味がキャベツとマッチしている。


 コーンスープもちゃんと鶏がらスープとコーンの味がしみわたる。


 隠し味にオリーブの味もあった。


 そしてメインのサーロインステーキ。この肉はジューシーってもんじゃなくぷりぷりの肉で噛み応え抜群で食えば食うほどお腹がすく。


 それは一言で言えば天国にいるような気分になれるということだ。


 これにより私はつい追加注文をしてしまう。


 追加注文で料金が発生するというわけではないが、サーロインステーキが食べたくなり、またライスも欲しくなる。


 このステーキとライスの追加注文ループでお腹いっぱいになるまで食い続けてしまう。


 私はお腹が痛くなって布団に寝転ぶ。

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