プレイヤーイベント戦@中央3
墓場。それは街道から少し外れた場所にあった。
丁寧に管理されているのだろう。全体的に錆びれておらず、綺麗な墓場だった。
その付近の切り株に、一人の少女が座っている。燃えるような赤髪に、透き通るような
「やぁフ
そんな中二少女、フィニックスにねっとりとした喋り方をする中性的な人物が覆い被さった。
「粘緑を孕みし紅の悪魔。我が盟友はそんなにやわな人物ではないのでな。我がおらずともよい。それに、、、」
フィニックスは、自身に覆い被さる人物と目を合わせ、左手で眼帯を押さえながら言う。
「風が、、、我を呼んだのでな」
「さっむ」
決まった。そう確信したフィニックスに、現実はどこまでも不条理だった。
「ふ~寒い。あと、私の名前は『トゥメイトォウ』だから。そんな
トゥメイトォウにバカにされたフィニックス。当然、黙って済ますつもりはない。私は悪くない。トマトが悪い。その念を胸に、魔法の発動の予備動作を行う。
「ちょいちょいちょいちょいwwwなっかよくしましょうぜぇwww
「、、、冥府の小物風情が。失せろ」
「おーおー大草原くん!よく来たよく来た。私は嬉しいよぉ。ほらほら、こわ~いフィニックスから私を守っておくれ」
まさに一触即発といった二人の雰囲気は、愉快な
「ちょwwwwwトマトさんやめてくださいよwwwwボディータッチは危ないっすわwwww」
「ほーん。私を拒むと?ふふふふ。よいでわないか~!」
「ちょwwwwwwwww」
おいかけっこを始めた二人をよそに、フィニックスの視線は、再び遠方に向いた。遠方、空に浮かぶ巨大な舟へと。
「相変わらず凄いねぇ上位のプレイヤーってやつは。私じゃいつになってもあんなの持てっこない。的なことでも考えてたのかな?」
「嫉妬?我がその様なことをするか。だいたい、我はああいう連中のモノに頼るのが気に食わん。正々堂々己の身と武器で闘え」
「あの戦艦は武器と言えなくもなくないんじゃねwww」
「おー。一理あるね」
「バカな会話などしてないでさっさと立て。
立ち上がったフィニックスの瞳には、街道を跳ねて進む、乙姫の姿があった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「残り20分。埒があきませんね」
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、、、そのHP1で耐えきるスキルを使うなです!!何個あるんです!?」
「108個です」
「「ひゃくはち」」
銃を扱う神羅、転移で援護するグレーベン。接近戦で戦い、主軸を担う十六夜。三人と乙姫の戦いは完全に拮抗していた。
〔108wwwんでどうせ全部使いきる頃には最初ののクールタイムが回復してるとかなんだろw〕
〔だーろね。どう?リリィだったら削りきれる?〕
〔あん?制限前でも余裕だろ。マヌティノーゼは、、、まあ余裕だわな〕
〔108回程度ならねぇ。私クールタイム増加とかの特性持ってるし?〕
〔ヒュー。怖ぇぇなぁ。ん?乙姫がなんか取り出したな、、、〕
〔俗に言う海の宝具というやつだろねー。乙姫国滅ぼしてるし、普段使いとは言わなくても、ここぞというときに使う分くらいは持ってて当たり前かな?〕
「竜宮城・タイプ『慰域』。3分、3分です。時間も残り僅か。ですので、3分以内に、、、全員倒しましょう」
言い終わるや否や、乙姫は手に持った丸薬型の宝具を3つ、飲みこんだ。
「『海刃』」
詠唱も何もない。ただの初級魔法で、グレーベンの右腕が吹き飛んだ。
「、、、これは、ピンチだね」
「言ってる場合じゃねぇな。速攻で潰す。『仁義』」
「援護、任せたです!」
三者三様に動き出し、それでいて連携が取れていた。
十六夜に乙姫の魔法が直撃しかければグレーベンが転移で防ぎ、攻撃を食らった分だけ強くなるスキルを使った神羅が間を縫って乙姫にダメージを与える。
人数差を活かし、完璧に食い止めることができる。そのはずだった。
「銃弾はなぁ!?素肌ではじくものじゃねぇんだよ!」
「はっやいのです!!!」
〔、、、乙姫、初級魔法だけで追い詰めてんなぁ。いや、他が使えねぇだけか?〕
〔まあ、強化率相当高いだろうからね。ほぼ本来のステータスに近い威力でてるし?中位でもきたら終わるね〕
「顕現せよ。我らが母よ。告げよ。終焉を。汚し、瀆し、冒涜する。さあ、人類へと裁きを述べよ『
ドォンッッッ
〔草〕
〔地面えぐれまくってるし、グレーベン後で真っ青だね~w〕
邪魔者が消えた道を、宝具の効果が切れ、慰域により多少回復した乙姫はピチピチと跳ねながら進んで行く。
街を、人を、蹂躙するために。
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