第6話 - 2

「俺は、性欲ってもっと・・・こう、高速シコシコみたいな感じだと思ってて・・・」


 うわ、めっちゃ恥ずかしいこと言うじゃん。


「でも、全然感じが違うから、別の感情なんじゃないかって気もする」


 あー。自分の気持ちがわからないやつか。わかる。


「今は、・・・なんか、相手の喜んでいるのを見たいなって気持ちが強い」


 うんうん、その気持ちもわかる。


「相手のそういう表情を見ると、ドキドキするっていうか」


 相手のせいでドキドキしてしまう・・・これもすごい身に覚えがある感情だ。


「なんだろうな、これ」


 そんなの決まっているじゃないか!


「恋でしょ」


 ドキドキしちゃうとか、恋じゃなかったらヤバいって。片恋歴3年の僕が保証する。


 そうかそうか。修一くんも恋をする・・・ん?


「恋・・・か」


 修一くんが驚いた顔で呟き・・・そして少し嬉しそうに笑って、言葉を続けた。


「なら、俺たち、両思いなのか」


 あれ?そういう話だっけ?そうだよな。


 僕は修一くんのことが好きで、修一くんも僕に恋をしている。


 嘘でしょ。


「勝志、やっぱり触っていいか?痛くはしない」


 え。待って。


 さっき触られた時のことを思い出す。


 なんかぞわぞわってして、よくわからなかったけど、後戻りできない気がした。僕が急に立ち上がったのはそのためだ。まだ戻れる間に、脱出しなくちゃと思ったのだ。


「それは、待って」


 あの時は、修一くんが僕のことが好きじゃないと思っていた。そんな軽い気持ちで触ってほしくなかった。そのことを後で知って傷つくのは嫌だと思った。


 でも、今なら修一くんがとっても優しいことを知っている。


「そうか・・・。いや、いいんだ、別に」


 良くないな、と思った。


 こんなに優しくしてくれているのに、僕はそれを拒否しているのだ。君に、自分自身を傷つけらるのが怖くて。


 僕は君が大好きだって証明しないと。


「修一くんは・・・ずっと僕と一緒にいてくれる?ほかの人のところに行かない?」


 それを聞いた修一くんは、ちょっと驚いた顔をしたが、すぐに何かを悟って僕を目を見つめ返した。


「行かない。約束する」


「・・・僕とケンカしても、次の日には仲直りしてくれる?」


 ちなみに、僕らは高校に入ってからケンカしてない。ケンカなんか、しばらくぶりだ。


「もちろん」


「僕がわがままを言っても、許してくれる?」


「それは・・・内容による」


「えっ」


「いや、わがままっていうか、可能な範囲なら協力するし応援するけど」


 ああ、嬉しい。最初から、修一くんは優しかった。・・・僕のことが大切だから、僕に優しかったんだ。もっと早く告白すれば良かった。


「・・・勝志はすぐに遠慮するけど、もっといろいろ・・・勝志の言う、わがままっていうのを、もっと言えばいいとも思う。俺はどうせ暇だし、俺にできる範囲なら手伝わせて欲しい」


 修一くんが少し恥ずかしそうに言った。僕はその顔を見た瞬間・・・胸からなんかあふれる感じがした。


 それで思わず体が動いて、僕は修一くんを真正面からハグしてしまった。


「修一くん・・・ありがとう」


 僕は、自分より大きな体に抱きついて、顔をその肩に押し当てる。


 修一くんは、戸惑いながらも、僕の後頭部と背中を手を回してくれた。


 幸せだ。




「ひょっ」


 しまった。修一くんの指が動いたせいで、また変な声が出てしまった。雰囲気が台無しだ。


 というか、ずっと指が動いていて、僕の背中に丸を書いたりしている。


「ねえちょっと、わざとでしょ」


「うん」


 指が、背中をつーっと移動して、動く範囲を広げてくる。


 あ。


 早いって。


 アソコが、再びぐんぐんし始めた。体が触れたらぜったい盛るとか、もう自分が嫌いになりそう。


「勝志は、普段ひとりでするのか?」


 お尻を揉まれながら質問された。


 なんでそんな質問するの?いや、もっと大事なことがある。これってどこまでするんだろう。これからもっとエッチになるんだと思うと、自然と呼吸が荒くなってる。はー、はー、っていう変な呼吸だ。


 今お尻触られてるだけなのに、体がびくびくするし、だいぶやばい。僕、大丈夫かな・・・。

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