第8話 世間話
☆長代友美サイド☆
私は目の前のセリナ・バレンタイン・久城さんという1年生を見る。
噂は聞いた事がある。
今、私と久城さんと恭三郎は恭三郎の片付いた部屋に居る。
久城さんは私を見てから、そんな気はないです、と答えてきた。
私と恭三郎がキスをしていた所を見ていたかの様に。
「私は中西さんとはそんな仲ではないです」
「まあそうだな。.....友美。とりあえず心配する事は無いと思うぞ」
「.....そっか」
何となく安心だが.....。
私は久城さんをまじまじと観察する。
凄まじく綺麗だ。
綺麗というかお人形さんの様でもし恭三郎に恋とかをしていたら私は絶対的に勝ち目がないと思う。
私は弾かれた人間だし。
「その様な感じで誤解が生まれるのでしたら私は中西さんとはもう会いません。じゃないと.....お2人にご迷惑でしょうから」
「いや。そこまでする必要はないよ?.....私は怒っているんじゃない。.....ちょっと驚いているだけ」
「.....貴方は優しい方ですね。友美先輩」
「友美先輩っていうのも恥ずかしいね。なんだか」
私はくすぐったくなりながら笑みを浮かべる。
恭三郎に会うのは全然構わないよ。だけどできれば隠し事をしないでほしいな、ってだけ、と私は答える。
すると頭を久城さんは律儀に下げた。
すいませんでした、という感じで、だ。
「俺も謝る。.....隠していたのは悪かった」
「.....うん。ありがとう。恭三郎」
私はそう答えながら久城さんを見る。
これからも恭三郎をサポートしてあげてほしいです、と言いながら。
久城さんは驚きながら私を見る。
良いのですか?、という感じで、だ。
その事に頷きながら私は笑みを浮かべる。
「ですが私は.....貴方に迷惑が掛かるかと思いまして」
「私は迷惑じゃないよ。.....大丈夫。そう思ってくれてありがとう」
「.....」
笑顔になりながら私は手を差し出す。
すると久城さんはその手を伸ばして握り返した。
私はその事に更に笑みを浮かべる。
久城さんも笑みを浮かべた。
「恭三郎」
「.....何だ?」
「今日は3人でお出かけしない?」
「3人って.....この3人でか?」
「そうだよ。デートは中止。.....私は久城さんと更に仲良くなりたい」
「え?.....し、しかし」
久城さんは悩む。
その背中を私は押す様に、遊びに行かない?、と聞いてみる。
すると久城さんは恥じらう感じで、お邪魔でなければ、と答えた。
私はその事に、じゃあ決定だね、と頷く。
「恭三郎。女子が2人も居るからサポートしてよね」
「いや.....お前な。投げやりか?」
「投げやりじゃないよ。私はぶきっちょだから」
「.....へいへい。分かりましたよ」
恭三郎は苦笑いで返事をする。
それから私は立ち上がってから久城さんの手を握る。
そして立ち上がらせてから、行ける?今から、と久城さんに聞く。
久城さんは、は、はい、と返事をしながら。
そうして私達は遊園地に行く事になった。
☆セリナ、サイド☆
暖かみを感じた。
私は驚きながら目の前の2人を見る。
中西さんに出会ったのも凄かったが.....彼女に出会ったのも。
友美先輩に出会ったのも凄い。
インパクトがありすぎて目の前がグラグラだ。
「ねえねえ」
「は、はい。なんでしょうか?友美先輩」
「シャンプーって何を使っているの?凄く良い香りだね」
「わ、私ですか?私は.....自然派シャンプーです」
「ほー!香り良いね!」
私の髪の毛を褒めてくれるなんて思わなかった。
そして笑顔で友美先輩は反応する。
私はその姿を見ながら恥ずかしくて顔を逸らす。
すると友美先輩は、髪の毛.....触ってみていい?、と聞いてくる。
「え?.....あ、はい」
「ありがとう!うわー!絹みたい!」
「.....」
何故だろう。
こんなに暖かくなるのは。
友美先輩に嫉妬していた.....嫉妬?
嫉妬って何?
私は訳が分からないまま髪の毛を触る友美先輩を見る。
電車がガタンゴトンと揺れる。
「恭三郎!めちゃめちゃ絹だよこれ!」
「分かった分かった。あまり触るなよ?貴重な髪の毛なんだから」
「まあそうだけど!」
髪の毛を触られたまま私は恥じらう。
すると友美先輩は私の方を見てきながら、ねえねえ!、という感じで見てくる。
私は、は、はい、と反応すると。
友美先輩は、石鹸とかリンスとか私は.....その。.....色々頑張っているけど良いのが見つからないんだー。過敏なんだよね。その件でオススメあるかな?、と聞いてくる。
「そうですね.....本当に石鹸には添加物がない方が良いと思います。例えば添加物の多い食品を食べて身体が調子が悪くなるみたいな感じです。基本はノンシリコンシャンプーとかオススメします」
「シリコンやっぱりダメ?」
「そうですね。あれはキューティクルを痛める可能性が.....。人によりますけど」
「そっか。じゃあやめておこうかな」
友美先輩はニコニコしながら私を見る。
いつ以来だろうか。
私が。
こんな気持ちになるのは。
思っていると中西さんが苦笑いで見てくる。
「.....すまないな。色々聞いてから。子供みたいな奴だから」
「い、いえ。全然」
子供じゃないよー、と反応する友美先輩。
それから頬を可愛らしく膨らませる。
私はその姿を見ながら.....何だか羨ましく感じた。
こんなに仲が良いのも、だ。
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