第二十九話 お嬢様、半裸で迷宮暴走に巻き込まれる

 配信を終えて数分後。私は、絶望の淵に居ましたわ。


「うぅ、もう完全に服無くなっちゃったのですわぁ……」

「あはは~ごめんね~」

「……ぐぬぬっ。あんたのせいで、私今半裸になっちゃったのですわッ! その上着かせですわっ!」


 そう言って私は、リオ姉さまの上着を奪いましたわ。


「あーちょっと、エリ~」

「ふんっですわっ!」


……うん、股間よりちょっと下までしか隠れてませんが……一応大事なところは隠せてますわね。


「……何見てますの?」

「いやー、これが彼シャツって奴なのかなって」


 ……彼シャツ????


「あんた、馬鹿ですの?」

「馬鹿じゃないよっ‼ ただ絵里の痴態と、エロい所をこの目に焼き付けられて最高にハイなだけだよっ‼」


 そう言ってリオ姉さまは「はぁ……はぁ」と息を荒げていますわ。


「……すっげーキモイですわよっ⁉」

「ありがとうございますッ!」

「何故お礼言ってるのですの⁉」


 そう、思わず私がリオ姉さまにドン引きしていた時、突然リオ姉さまが持ってるスマホが鳴りましたの。


「……ん? あ、もしもし」


 そう言ってスマホを手に取って、電話に出たリオ姉さまですが、その顔はだんだんと険しくなっていきましたわ。


「……ここ? ええ、丁度配信してまして……了解です。それでは」

「何かありましたの?」

「ん? なんか冒険者ギルドからだった。何でも迷宮暴走が起こったんだって……ここで」


 そうリオ姉さまは何処かいつもと違って真面目な顔で言いましたわ。


「迷宮暴走っ……って何ですの?」


 そう私が訪ねると、リオ姉さまは……うーんと、言って説明してくれましたわ。


「そう言えば最初に迷宮暴走が起こったのは半年前か……それなら、エリが知らないのは当たり前だよね? よし、このリオ様が簡潔に説明してあげようともっ‼」

「おお~!」

「迷宮暴走とはつまり……迷宮の魔物が、謎に元気でハイテンションになって、本来いないはずの下層の魔物が上層に進出してくるというとんでもなく危なくて、危険な現象なのであるっ!」

「ほうほう、成程なのですわ」


 そう、リオ姉さまの説明に私は大きく頷きましたわ。


「これで迷宮暴走についてわかったかな?」

「ええ! 全く分かりませんわ!」

「ズコー」


 そう言ってリオ姉さまは盛大に転びましたわ。


「……え、えっと。そっか。うん、そっかぁ……まあ、そうだね。とりあえず、迷宮暴走ってめっちゃ危険だから、エリは早く迷宮から出た方がいいよ?」

「そうなのですわね~……リオ姉さまは?」


 私がそう尋ねると、リオ姉さまはその小さな胸をトンっと叩きましたわ。


「もちろん! 私は強つよ探索者だから、他の人の救援をしてくるよ! さっきの電話もそれの依頼だったし!」

「ほへ~そうなんですわね~」

「ってなわけで、じゃ‼」


 そう言って、リオ姉さまは、走り出しましたわ。


「……ん? んん?」


 あれ? 今リオ姉さまってめっちゃ危険って言いましたわよね?

 あれ~なんで私置いていくのですの~。


「ちょっと、リオ姉さま⁉ 待ってなのですわ―――‼ おいてかないでですわあああああ‼」






――――――――――――――


よ、ようやく少し進んだのです。


ここまで読んでくれてありがとうなのです!

作者からの少しの宣伝なのです。

新作を始めましたのですよ!


タイトルは『転生したら幽霊船だったので、この世のお宝すべて手に入れてやろうと思います。』

https://kakuyomu.jp/works/16817330665162212961


……知ってます? 船って彼女なのですよ。

是非読んで……コメントいただけたら最高に嬉しいのです!


――――――――――――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る