第二十話 お嬢様、都市伝説を聞く。

「……ダンジョンに現れるヒーロー少女……ですの?」

「うん! そう! なんか、超強い子がピンチになったら助けてくれるんだって!」


 そう言って、スマホの画面を差し出したリオ姉さまは興奮気味にそう叫んだ。


「相変わらず、リオ姉さまはその手の類が好きですわね……ヒーローとか」

「ん? まあ、かっこいいからね!」


 そう言って、リオ姉さまはいつの間にか巻き付けていた変身ベルトで変身ポーズをとる。


 そんなリオ姉さまを見て、私は軽く呆れの目を向けましたわ。


「リオ姉さま、右手は、そうじゃなくこう。その手の動かし方はヘラクス様の動かし方ですわ、ギラファ様はもっと荒々しい動きなのですわ」

「そ、そっか! こう?」

「違いますわッ! こうですわッ‼」


 ビシッ、バシッ、ビシッと、私はギラファさんの変身ポーズをとるのですわ。

 全く、このポーズをまねるためにどれだけ変身シーンを見返したか……ヘラクスのヒーローたちの変身ポーズって複雑すぎるのですわ!


「おおー流石絵里、よっ! 隠れヒーローオタク!」

「ふっふーん、そうでしょうそうでしょう? 流石私でしょう? おーっほっほっほっほっほっほ……ほ…………」


 ……って、何してますの私わあああ⁉

 違う違う、お嬢様はそんな変身ポーズなんてしないのですわああ!


「さて、そんな変身ヒーロー大好き絵里ちゃんに朗報だよ! 今から私が言うミッションを達成してくれたら、この変身アイテムをぷれぜんとしま~す」

「は、はぁ、ですわぁ? わ、私がそんなモノに釣られるなんて………な、なんですとおお⁉ そ、それは【ダンライバー】とコラボして作られた特別な変身アイテムっ⁉ な、何故まだ発売されてない物を持ってるのですの⁉」

「サンプルでもらったんだ~、にししー」

「そ、そうなんですのねぇ……」

「欲しい?」


 そう言われ、私はビクッと肩を揺らしましたわ。


「ば、馬鹿言ってんじゃねえですの、べ、べつに……私変身アイテムなんて、ほ、ほほほしくなんてないの、無いのです……わ? で、でもどうしてもっていうなら貰ってやってもいいですわ~」

「ワァ、すっごい白々しい」

「うっせぇですわッ‼ そ、それで……何をすればいいんですの?」

「あ、えっとね……はいこれ」


 そう言ってリオ姉さまから渡されたのは、エコバックでしたわ。


「ほへ? これは……」

「ミッションは至って簡単! ズバリ、近所のスーパーにお使いに行ってきて!」 

「ぎゃああああ、絶対いやなのですわああああ⁉」


 そう、リオ姉さまに言われて、絶叫しましたわ。


 あ、あのスーパーマーケットにお使いに行くなんて、しかもこの時間ですわよ⁉

 私に死ねと、死ねと言っているのですの⁉


 こ、これは断る一択……

 

「これ」


 そう言ってチラ見せしてくるリオ姉さま。


「ぐ、ぐぬぬ……ほ、欲し……くは無いのですわッ! で、でも、しかたないですわね~……チラッ………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ッ行ってきますわーーー!」

「行ってらっしゃーい」

「……もう一度言いますけれど、別に欲しかったりなんてしないのですわ

ああああああ!」





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読んでくれてありがとうなのです!

作者からの少しの宣伝なのです。

新作を始めましたのですよ!


タイトルは『転生したら幽霊船だったので、この世のお宝すべて手に入れてやろうと思います。』

https://kakuyomu.jp/works/16817330665162212961


……知ってます? 船って彼女なのですよ。

是非読んで……コメントいただけたら最高に嬉しいのです!


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