ラジオ体操は、SFラブコメなのか？ビアンカちゃんとフローラちゃんに、逆襲され。

第1話 知っていましたか？ラジオ体操には、いくつかの面白バージョンがあります。怖いことにならないように、気を付けよう！自動運転もね！

　「ラジオ体操の戦い。SF（とラブコメ）バージョン」

　みたいなのは、いかが？

　小学生時代、夏にやったラジオ体操を思い出す。

　「新しいママがきた　希望のママだ♪」

　あれ？

　「新しいパパがきた　希望のパパだ♪」

　何か、ちがうな。

　まあ、良いや。

　ラジオ体操の「全国巡業バージョン」が、面白い。

　「大阪バージョン」

　こんなかけ声。

　「ほな、いくで！さあ、背伸びの運動やでー！」

　他にも、たとえば…。

　「博多バージョン」

　こんなかけ声。

　「よかよ、よかよ！いくばい！腕ば、回すったい！」

　最近は、動画サイトに、各国の言葉を使った世界版も流されている。

　「ブラジル語バージョン」

　（ブラジルには、移民に、日系の人も多いので、ラジオ体操の人気は高い）

　「英語バージョン」

　「中国語（広東語）バージョン」

　「イタリア語バージョン」

　「ベトナム語バージョン」

　「台湾バージョン」

　日本も、負けるな！

　「できる。俺は、できる子なんだ！」

　自信をもて！

　「自己肯定感を、上げる」

　ラジオ体操の、教え。

　が、気を付けろ。

　「慣れすぎ」

　これ、注意。

　毎日のように、ずっと慣れ親しんだ、体操だ。

　「あの体操の動きは、覚えた！」

　「俺は、すべてを知った！」

　かんちがいの空耳感覚で、何となく、身体を動かしてはいないか？

　注意！そうした気持ちで体操をすると、かえって、身体を痛めつけてしまうことがあるんだな。

　「皆勤賞」をもらえるくらいに、自分自身を整えていけ！

　が…。

　あれ？

　「皆勤賞」

　そんな言葉に、だまされたくはないぞ。

　日々努力したからって、良いことがあるのか？大人になればなるほど、あの体操の恐ろしさが、わかってくる。

　「毎日の努力、か…。毎日スタンプを押してくれた、ビアンカちゃん。今、どうしているかな？」

　びっくりするくらいの少子化で、ラジオ体操をする場には、彼とビアンカちゃんしかいなかったなあ。

　「飼っていた愛犬に、逃げられたころだ」

　何度か、ご飯を与えるのを忘れてしまっていた、AI犬、フローラ。

　「ビアンカちゃんもフローラも、どうしていなくなってしまったんだろうな？」

　思春期の少年時代からして、過保護な男子。

　彼は、彼女を襲おうとしたことがあった。

　「エへへへ、かわいいよなあ！」

　「やめて！」

　「何だと？AIロボットの、クセに！」

　「ああ…」

　「うひー！俺は、世界に1つだけの花、ゆ×り様なんだぜ？」

　「ああん…」

　彼女は、それからすぐ、姿を消した。

　「なつかしいなあ…。また、会いたい」

　過保護に慣れすぎると、反省とか危機感とか生まれないのか？

　思い出から帰った彼は、すぐに、スマホを手にとった。

　自動運転車を呼んで、大学にいくために。

　「俺、もう、疲れちゃったよ」

　自動運転車での移動は、本当に、楽だ。

　「ゆ×りカード」を、車外の専用機械に差し込み、後部座席にある端末に向かって行き先を告げれば、国内のどこにでも、連れていってもらえることになっていた。

　乗車賃を支払うのは、他の世代。

　おお、怖い。

　車の後部座席に、乗り込むと…。

　「あ！」

　あのビアンカちゃんが、彼の座席のとなりに、現れた。

　「あ、ビアンカちゃん！何年ぶりだろう」

　ブルルルル…。

　ビアンカをとなりに乗せて、車は、順調に出発し…。

　「キキー！」

　自動運転車のタイヤが、もうもうと、けむりを上げはじめた。

　「キャン、キャン！」

　急ブレーキをかけて停まった車の前には、一匹の犬。

　「ぐええ…」

　後部座席に倒れ込む、彼。

　この言葉を、知らなかったのか？

　「自動運転車の、緊急回避のジレンマ」

　自動運転車の前に、高齢者や子どもが飛び出してきたとする。

　そのとき、自動運転車は、急ブレーキをかける。もちろん、車に乗っている人を事故から守るために。

　で…。

　車が急停止したことで、バスに乗っている人が倒れて、大けがをしてしまったりする場合があるんだな。

　急に車が停まれば、後続車から追突されることもある。

　「自動運転車の、緊急回避のジレンマ」

　知っておいたほうが、良いよ？

　危機意識、なかったろ？

　ラジオ体操で、何を学んだんだ？

　彼女は、車の前に飛び出してきた犬に、キスをしていた。

　「…アリガトウ、フローラ。チュッ」

　おお、怖い。