第16話 ジェットコースターなんて聞いてない!…いや、聞いてたわ

「そういえば、神無くんこそなんで今日は一人で遊園地なんかに?」


「彼女…は作っちゃいけないしな、まさか男と来てるのか!?」


「違います!絶対ないです!!」


「じゃあ誰と来てるの?」


「一人ですよ!一人!!」


「一人テーマパーク…なんだか上級者ですね」


「うっ…それじゃ俺トイレ急いでるんで」


「ちょっと!神無さん!トイレ逆方向ですよー!?」

 

 酔いもなんとか治ったし、トイレは今はどうでもいいんだ俺は二号ちゃんを釜ゆでの前に置いて来たままだし。早く戻らないとまた酔いそうなアトラクションに乗っけられてしまうし、何かと面倒だ。

 

 俺は早々に二号ちゃんを見つけることに成功した。

このテーマパークは暑いのでアイスキャンディーの屋台や自動販売機がそこら中にあって、二号ちゃんは運良く空いているベンチで屋台アイスを食べて待っていてくれた。


「神無さん!遅いやん!どこか悪くしたん!?」


「いや、特になにもないよ…ってかあちいな…」


「よかったら神無さんも…食べる?」


 俺に向かって二号ちゃんは食べかけのアイスキャンディーを差し出す

可愛い鬼の顔の形のアイスキャンディー、暑さで今にもぽたっと溶けてしまいそうだ。


「やっぱり…いらない?」


そんな目で見るなよ!断ったら俺がなんかいけないことしたみたいじゃん!


「うぐぅ……もったいないので食べます…」


 俺はなるべく二号ちゃんの食べたところじゃないっぽいところを狙って食べることにした。

まぁロボットの二号ちゃんに唾液的なものが存在するかはさておき…

俺は二号ちゃんのアイスキャンディーの欠けていない所を少しかじった。すっきりとしたオレンジ味で結構俺は好みの味だ。


「そういえば二号ちゃんに味覚ってインプットされてるのか?それとも何か食べる必要はあるのか?」


「味覚はあるで、水分は肌に触れられても違和感がないように、人間の肌みたいに超超微量な水分を放出しとるから一応必要やね」


 俺はなんか加湿器みたいだなとか、てか黒夢部長のテクノロジーだけで軽く産業革命起こせそうだな。とかどうでもいい感想を思い浮かべていたが

最終的に「すごいな」という語彙力を微塵も感じない感想しか出てこなかった。


「神無さん次ここ行きましょ!『針山ジェットコースター地獄の業火に裁かれろ ver』!!!」


 なんでそんな中二男子でも流石にイタいって思うようなアトラクション名になってしまったんだろう。てかこれあれだな、この遊園地に来る前に黒夢部長が言っていた業火ジェットコースターだ。


「はよ行きますよ!!!流石にジェットコースターで戻すなんてことはせんといてくださいね!?」


「それは社会的にまずいから俺下で待ってていい?…」


「それは私が許しまへん!」

 

 俺は強制的に二号ちゃんと一緒にジェットコースターに乗ることになった。

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