第9話 神、そして王都へ

 神様初登場。しかし出番は短い。もはやネタ。

 ―――――――――――――――――

 

 真っ白な場所に一柱ひとりの神がいた。


「やばいやばい、これはやばいですよう…」


 神は慌てていた。


「この転生者と会うの、忘れてましたぁぁ!!!」


 そう、その神はアリオストをこの世界に送った張本人だった。


「うう…予定ではこの人にから私の世界を救ってもらうつもりでしたのにぃ」


「ディオバルト様、まだそんなことを言っているのですか?仕事してください」


「うぅ、リィンが冷たいですぅ...」


 そしてこの神は創造神ディオバルトだった。


「というか!私のことはディーちゃんって呼んでくださいっていつも言ってるじゃないですかぁ!かわいくないんですよう」


「ではディーちゃん様、仕事をしましょう」


「う、うう、どうしてこんなことに…私はいつから男神になってしまったのでしょう…こんな美しい女神なのに!」


「さぁ?何らかの要因があったのでしょう。さ、仕事を」


「あぁ。一刻も早くあの転生者に会って厄災からこの世界を救ってもらわねば…私のハッピーグダグダライフが遠ざかってしまいますぅ」


「あの、しごt」


「ああああっ、早く王都の教会に向かってください!アリオスト・レグシェル‼そしたら神界に招待しますからぁ!!!」


「ディオバルト様…?仕事をしましょうか…?」


 黒いオーラがっ、見えるっ

 ディーちゃん怖いっ!


「は、はいぃぃ!!仕事、します!!!」


 それでいいのか神よ…


(早く来てくださいアリオスト・レグシェル!私が忙殺される前にっっ!!)


 神界でそんなやり取りがされているとき…


 -アリオスト-


「いやー、魔物を倒すだけでお金がいっぱい入ってくる!神かよ!」


 俺は金をがっぽり稼いでいた。冒険者登録をしてから3年たち、今の俺は10歳だ。


 俺は冒険者としての才能があったらしく、登録をしてからというもの、暇さえあれば依頼をこなして報酬金を得たり、魔物の素材を換金したりしていた。するとどうだろう。金が貯まる貯まる。気づけば10歳の子供が持っているといわれても信じられないレベルの金が溜まっていた。


 しかもずっと依頼をこなしていたため、俺の今のランクはBだ。ギルマス曰く、それより上でもいい実力なのだが、さすがにまだ子供すぎるとのこと。

 今度学園に入学し寮で生活するため、慣れたら上げてくれるそうだ。


 ちなみに俺は明日、学園に試験を受けに行く。今は王都に向かう準備をしているところだ。まぁ入学は決定しているのであれだ。最初のクラスを決めるための試験だ。


(試験かぁ…前世での俺は試験嫌いだったんだよなぁ)


 なぜって?そりゃもちろん、勉強なんてくそくらえって思ってたからな!(どやぁ)

 まぁ試験といっても、座学よりも剣術や魔術の方が重視されるそうだから大丈夫だろう。


「アーリー、準備はできた?そろそろ出発するわよ」


「今終わったところです」


「じゃ、行きましょうか」


 レグシェル領から王都までは、馬車で3時間ほどだ。出発してから魔物や盗賊に襲われたりすることもなく、安全な馬車の旅だった。


 王都に近づくとまず目に入るのが、城壁だ。王都ディシディアは城壁に囲まれている。そしてそこを抜け、馬車から降りると…


 うちの領に負けず劣らずとても栄えた街があった。


「すごい活気がありますねぇ」


「そうね、この時期はいろんな領から人がたくさん来るから」


「そうなのですか?」


「ええ、そろそろ学園の入学式があるでしょう?未来ある若者が多く輩出されることは、国全体でも喜ばしいことで、毎年祭りかってくらい騒ぐのよ」


「へぇ、なんかすごいですね…」


「さぁ、とりあえずは王都の屋敷に行きましょう」


「王都に屋敷があるのですか?」


「爵位が伯爵以上の貴族は大体持っているわね。そもそも領地を持っていない貴族もいるわけだけど」


「なるほど…」


「屋敷はこっちよ」


 母様について行くと、領にある屋敷より一回り小さいくらいの、でもやっぱり豪邸が建っていた。


「こっちの屋敷もでっかいですね…」


「あまり気にしたこともなかったけど確かにそうね。しかもこの辺りは王城に近い一等地だし…」


「も、もしかして母様と父様って王国の中でも結構すごい位置にいたり…?」


「まぁいろいろと、ね。いずれわかるでしょう」


 なんだよそれ。気になるじゃん。


「むぅ、教えてくれないなら自分で情報を集めてやりますよ!」


「ふふ、それでいいのよ。貴族は情報を集める力も持っておかないと」


 あ、もしかしないでも母様に乗せられた?


 そんな話をしていると、中から使用人が出てきて、


「奥様、お帰りなさいませ。そしてアリオスト坊ちゃま、ようこそいらっしゃいました。私はこの屋敷の管理を任されております、シ-ナと申します。よろしくお願いいたします」


「よろしくお願いします」


「シーナ、元気にしていたかしら」


「はい、奥様。おかげさまで使用人一同、皆元気でございます」


「そう、それならよかったわ。それと、頼んでいた物の準備はできているかしら?」


「坊ちゃまの入学準備ですね。ばっちりでございますよ」


「ありがとう。アーリー、今日はここに泊まって、明日の朝学園に向かうわよ」


「は~い」


「この後は特に予定はないのだけれど、何かしたいことはあるかしら?」


「はい!王都を見て回りたいです!それと、冒険者ギルドにも行っておきたいです!」


「それならいいわよ。母様はここにいるから、行ってらっしゃいな」


「行ってきます!」


 俺はまず、ずっと気になっていた出店を回ってみることにした。たくさんの食べ物やアクセサリーなど、いろんなのがあった。うちの領にはないから、とても楽しかった。そして満足した俺は、ギルドへ向かった。


「ここかぁ。王都の冒険者ギルド。うちの領のより圧倒的にでかいな~」


 王都のギルドはとても大きくてしっかりした建物だ。扉を開けて中に入ると、中にはたくさんの人がいる。早速依頼ボードに向かい、手ごろな依頼を探していると…


「おいおい、ここはガキが来るところじゃぁねえぞ?」


 小さな子供が来たのかな?俺も登録した時を思い出すな~…最初のほうは薬草採取とかいっぱいしてたなぁ。


「おい、聞いてんのか!」


 肩をガっとつかまれた。え、俺?


「……すみませんが、ガキとは僕のことだったのでしょうか」


「ハっ!僕のことでしょうかって、お前しかいねぇだろーがよぉ!!ガキィ!」


「僕もう10歳超えてますしちゃんと冒険者登録も終わってますので。ここにいても問題ないんですが」


「いやいや、こっちのボードはBランク以上のやつが受ける依頼しか貼ってねぇだろうが!お前がいるべきなのはあっちの低ランクの依頼が貼ってあるところだろぉ!?お前みたいなガキが受けるもんなんて貼ってねえよ」


 なんだ。この人口が悪いだけでただ子供の心配してくれる優しい人だったのか。


「心配してくださってありがとうございます。ですが大丈夫ですよ」


「あぁ?なんだ、てめぇ自分がBランク以上だって言うのかよ?」


「ええ。そうですよ。僕のランクはBです」


「……ぎゃははははっ!!!こりゃ滑稽だな!おいガキ、何を勘違いしてるのか知らねぇけど教えてやるよ。Bランクに上がるためにはなぁ、何年も時間が必要なんだよ!ましてやお前みたいなまだほんのちょっとしか冒険者やってないような奴がたどり着ける場所じゃねぇんだよ!」


 あ、こいつ優しくなんかなかったわ。ただの子供を馬鹿にする害悪だったわ。しゃーない、面倒だけど少し懲らしめてやるか。

 ―――――――――――――――――

 作者です。


 お察しの通り(?)次回はしっかりざまぁ回です。

 書いてて楽しいのなんのって(笑)


 次回:やりすぎて、しまったようだッ…!


 またお会いしましょう。ではでは~

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