人生には、3つの大事な金玉袋があります

阿久津万丈

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あー、まずはこの様な晴れの日にご招待いただきましてありがとうございます。


新郎、新婦ご両人。本日はご結婚、誠におめでとうございます。

ご両家ならびにご親族の皆様におかれましても、心よりお祝い申し上げます。


これからお二人が夫婦として歩んでいくにあたってはですね、

えー、幸せはもちろん、困難なことも待ち受けているでしょう。

諸先輩方を前に誠に僭越ではございますが、私も人生の先輩として、

お二人にアドバイスをさせてください。



えー、人生には3つの大事な金玉袋があります。



まず一つ目は、父親の金玉袋。

理由は簡単ですね。これが無ければ生まれては来れません。

しかし生まれてしまえば、こんなに無駄にぶら下げてるものはない。

一生にせいぜい数回使う機会があるだけで、後は役立たずに成り下がってしまう。


でもね、人生だってそんなもんです。

思い返してみてください。子供時代、青春時代、付き合ってから。

二人ともその間に大事だと思ったもの、熱中したものはたくさんあるはずです。

その中で今も使い続けているものがあれば結構。

ですが、一方でいろんな理由で捨ててきたものもあるでしょう。


今この瞬間から見れば、無駄なものばかりだったかもしれません。

ですが、それらに熱中してきた時間があったからこそ、今のあなたがあるんです。

色んなものに触れて、出会ってきた過去のこと。

たまには振り返って、大事にしてあげてください。



次に二つ目。新郎の金玉袋です。

私も結婚してから随分と長いこと経ちましたけれど、その中でもやっぱりね。

これをちゃんと掴んでおくのが夫婦円満の秘訣というか、一番の近道と思うんです。


男ってのはね、普段は芯があって頼りになるけれど、それでもどうしても。

時々優柔不断にブラブラしちゃうことがあるんですね。

そう言った時にギュッ!と押さえつけてあげる。これが大事なんですよ。


もちろん普段から話し合いだったり、支え合って生きていくことが多いでしょうけど、彼も変なところで優しいからね。

奥さんも結婚したら対等な関係なんだから、遠慮も何もいりません。

肝心なところでしっかりと、握ってやってください。



最後に三つ目。これが一番大事かもしれません。子供の金玉袋です。

……女の子が生まれた場合はどうなんだ、って思った方。会場におりますでしょう。

いえいえ、そういう訳ではありません。


金玉という言葉、実は中国語にも同じ単語があります。

意味は日本語と違っていてですね、「金」と「玉」に分ければ分かりやすいかな。

そう、「宝」という意味なんです。


日本でも昔から言うでしょう、「子は宝」と。

ではそれを守るための「袋」は?……もうお分かりですね。両親です。


御二人もそのうち、親になる時が来るでしょう。

次世代の育成は、人として生物として、重要な役割です。


もっとも、口では簡単に言えますが、これが中々に難しい。

何せ正解なんてものはありませんからね。

ひねくれてしまうこともあるかもしれません。

途中で衝突して、飛び出してしまうなんてこともあるかもしれません。


しかし、弛まず、根気よく付き合って、見守る。

それこそが親として、保護者として精一杯出来ること、なんだと思います。

二人とも、是非とも立派な「子供の金玉袋」になれる様、頑張ってください。



えー、ちょっと喋りすぎました。

長くなりましたが、この三つの金玉袋を胸に、今後とも幸福な家庭を築いて下さい。

そして日常の生活の中で、楽しい時でも、困難があったときにも。

この言葉をふっと思い出して、笑っていただけると幸いです。


常に二人の会話を大切にし、共に支えあって乗り越えていける。

そんな金玉の様な夫婦になって下さい。


つたない話ではございましたが、お二人へのはなむけの言葉とさせていただきます。

本日は誠におめでとうございます。末永くお幸せに。

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