後悔が力になる

 製品に不具合があると、開発者はもちろん、品質管理にかかわった者も落ち込む。お客さまの声にではなく、自分自身の至らなさを悔やむのだ。なぜそれに気がつかなかった、あのときこうしておけば、と思いは尽きない。上司やプロジェクト上層からの責任追及まで重なると、一歩も動けなくなる。己の無力さに苛まれるのは避けられない。

 しかし、うずくまり、嵐が過ぎ去るのを待っているわけにはいかない。ひとつの製品が世に出るとき、次の製品開発はすでに始まっているのだ。不具合を残した事実、後悔の念とともに、再び歩き出さなければならない。製品をよりよくするため、あるともないとも知れない不具合を見つける旅路へと。

 今を生きるわたしたちは、過去を変えられない。だから、満足のいくほどに、記憶に深く刻まれるほどに後悔するといい。その後悔は、あなたの敵ではない。困難を前に再び倒れそうになったとき、背中につかえを感じて倒れられなかったとしたら、それは後悔があなたを支えてくれている証拠だ。後悔はエネルギーの源泉といってもいい。

 後悔は強く語るだろう。『同じ過ちは繰り返させないぞ。あのときにできなかったことを、今こそするのだ』と。その声に従い行動で示したとき、あなたは新たな成長段階に至るだろう。

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