幽霊地蔵

村崎愁

第1話 幽霊地蔵

1961年10月。前日からの豪雨で崖崩れが発生し、満員状態で走行していた別大電車が押しつぶされた。 死者31人、重軽傷者36人の大惨事だった。


亡くなった方々の魂を治めるために建てられたものが1メートルと少しの大きい地蔵だ。


地蔵は「幽霊地蔵」と呼ばれ、地蔵の目を見ると事故に遭うと言われていて、知り合いにも何人か事故に遭った人はいたが皆、目を見たら引き込まれた、ブレーキが利かなくなった、と証言していた。


友人と見に行った際は頭の中に何かお経のようなものが流れて、運転に集中できなくなり大変な目にあった。


そのため、赤い毛糸で作られた帽子を目の下まで被せられている。

それでも徐々に上がってきてしまい、事故に遭う人は後を絶たない。


この地蔵の最大の特徴は両手が幽霊のようにだらりと垂れている所だろう。

何度両手を修理してもすぐに垂れてしまう。


一説によると、地蔵の手は魂を乗せるため、鎮魂の数が多すぎて支えきれなくなり両手が垂れるのではないかと言われている。


未だに事故の絶えない仏崎の国道10号線の旧道に行くと事故に遭ったり、呪われたりするかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幽霊地蔵 村崎愁 @shumurasaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る