転校してきたS級美少女が元カノと似ていて避けているのに彼女は何故かついてくるんですけど

danmari

第1話 転校生

「あのさ、蓮私達別れよ」


突然のことで理解できなかった。


「鈴、どうしてだよ」


「蓮って正直言って面白くないし、頼りないからなんか冷めたのだから別れて」


鈴はそれだけ言って俺の前から姿を消した。


正直もう死にたい。


それくらい彼女のことを思っていたのに。


でも今思えば彼女と俺はつり合いが取れていなかった気がする。

 彼女は学校でも人気で俺はクラスの底辺彼女のことをもっと考えて行動するべきだったのかもしれない。



そこからどうやって家に帰ったのか覚えていない気がついたらベットの上におり、朝になっていた。


学校に行く気がわかない。


でも親の心配もかけたくない俺は渋々学校に行くことにした。


いつものように学校に行くと門の前で見覚えのない女子生徒が俺の前を歩いている。


全校生徒全員を覚えていなくても何も不思議じゃないでもカバンには2年生のカラーで2年3組と書かれた名札を付けている。


2年3組は俺と一緒のクラスで少し見ればわかるはず。


(同じクラスにあんな奇麗な人いたかな)


一目見たら絶対に忘れないそれくらい美人なのが彼女の横顔でわかる。


何やら周りが騒がしいがそれも彼女のことだろう。


騒がしい中俺の前から猫のキーホルダーが転がってきた。


「あの、すみません落としましたよ」


俺の声に反応し、彼女はふりかえった。


「あ、すみません。ありがとうございます」


振り向いた彼女は思ったと通りものすごくきれいだった。

 

彼女は笑顔でお礼を俺に伝えた。


キーホルダーを渡し何も言わず、素っ気ない態度をとりながら俺は教室に向かう。

 なぜ素っ気ない態度をとったのかそれは彼女が鈴にどこか似ている雰囲気をしていたからかもしれない。


そんな自分の感情で彼女に嫌な思いをさせたかもと思うと少し悪い気もする。


教室につくと何故かクラスが騒がしかった。


「なぁー転校生がこのクラスに来るんだってよ」


「噂では女子らしいそれにめっちゃ可愛いらしいぞ」


と騒がしく収集がつかなさそうだがタイミングよく先生が教室に入ってきた。


「よーしお前ら席につけ」


場の空気は落ち着き先生が話し始めた。


「お前らに報告がある。今日から一人仲間が増える仲良くしろよ」


先生がそういうと静かに教室の扉が開いた。


教室に入ってきたのは今朝キーホルダーを落とした奇麗な彼女だ。


「霜月 乃愛です。よろしくお願いします」


「よし、霜月の席は一番後ろであの天崎蓮の隣だ」


(よりにもよって俺の席の横かよ)


朝のこともあり気まずいが彼女は朝の俺の態度を忘れたかのように「よろしくね」と一言微笑みかけてきた。



休み時間あれから彼女、霜月乃愛から話していない。

 

なぜなら彼女はクラスのみんなから質問攻めになっている。




放課後になり誰よりも早く教室を俺は後にする。


今日は誰にも絡まれたくない早く家に帰って一人になりたい。

 そんな風に考えていたのだが背後から俺の名前が聞こえてきた。


「天崎君待って!」


声をかけてきたのは転校生である霜月 乃愛だった。


「何?霜月さん俺に何か用なの?」


「一緒に帰らない?私この町来たばかりで何も知らないのだから教えて」


なぜ俺なのだろうか?疑問に思う。


「なんで俺なのさ、ほかの人にでも頼めばいいんじゃないか」


「うーん深い意味はないよでも君が私に喋りかけてきた第1号だから。ね、理由も言ったし一緒に帰ろ?」


言ってることが分からない彼女に喋りかけた人の中で俺が一番最初だったから選んだ理由が浅すぎではないだろうか。


「断る、俺は今そんな気分じゃないんだ他をあたってくれ」


強引に乃愛から遠ざかろうとしたのだが乃愛は帰り道何故かついてくる。


「なあ、いつまでついてくるんだよ」


「道が一緒なだけだよ気にしないで」


にっこりと笑いながら乃愛はそういうと俺はまた鈴のことを思い出した。


「もうついてくるな!」


思わずカッとなってきつく言ってしまった。


そのまま俺は走り出して家へと駆けこんだ。


「なんで俺はあんなこと言ったんだよ」


一人になると冷静になり乃愛に怒鳴ったことを後悔し、罪悪感で押しつぶされそうになる。


乃愛の笑顔を見ると何故か鈴のことを思い出してしまって苦しい気持ちになってしまう。


次に学校で乃愛のあったときは今日のことを謝ろうと思う。





今日は休日俺はこの間のことを忘れるためにゲーセンにでも行くことにしたのだが...


「あ、天崎君だ何してるの?」


一番出会いたくない人に会ってしまった。


「や、やあ霜月さんこんなところで会うなんて奇遇だね」

 

気まずい、この昨日のことがあって俺は乃愛の顔を見ることができなかった。


「天崎君またね」


乃愛はそう言ってその場から立ち去ろうとする。


立ち去ろうとする乃愛の後ろ姿を見て昨日のことを思い出して謝ろうと思った。


「な、なあ霜月さん!」


乃愛は振り向き立ち止まってこちらを向く。


「昨日はごめん俺嫌なことがあって霜月さんに当たってしまったんだあったばかりの霜月さんは悪くないのに本当にごめん」


「別にいいよ!私もここに来たばかりで友達を作りたくて必死になりすぎちゃった」


乃愛の言葉で少し気が楽になった。


「ねぇ、これからどこか行くの?」


唐突な質問に戸惑う。

 どう答えるか迷ったが特に隠すことでもないと思い正直に話した。


「ゲーセンに遊びに行こうかなって」


乃愛が何故かにまにまと笑みを浮かべてくる。


嫌な予感がする。


「私も一緒に行く」


やはりか、何となく彼女ならそう言うと思った。


俺は何も言わず目的地に向かい歩く。

 そうすると案の定乃愛は俺についてきた。


「ゲーセンってどこにあるの?私ここらへんわからなくてさ教えてよ」


「すぐそこだよ」


それだけ言うと乃愛は満足気な顔でついてくる。



本当にゲーセンまで乃愛はついてきて俺は店内に入り、お目当てのクレーンゲームに手を出した。

 狙う物はたまたま目に入った大きな犬のぬいぐるみでそれを取ろうとお金を入れる。


その間に乃愛は俺のことをじっと見つめている。

 

そんな感じが伝わってくる。


俺は見事景品を取ることが出来て思わず「よし!」と口に出した。


「おぉー!天崎君クレーンゲーム得意なんですね」


拍手をしながら乃愛は褒めてくれた。


そのあとも俺は何個か景品を取ることができ、満足して帰ることにした。


結局乃愛は自分がプレイすることはなく俺のゲームをしている姿を見ていただけだったのだがとても満足そうだ。


「何もしてなかったけどよかったの?」


「うん!私ゲーム苦手だし見ているだけで楽しいからよかったよ」


俺は景品の袋を開け乃愛に犬のぬいぐるみを渡した。


「え、くれるの?」


「こんなにとる予定はなかったからあげるよ」


乃愛は素直に受け取り「ありがとう」とお礼の言葉を言った。


その顔は本当にうれしそうで前見たのと同じ笑顔のはずなのに嫌な気分にはならなかった。

 むしろ心地がよい。


「ねぇ、一つ聞いてもいい」


急な言葉に俺は驚いたが「何?」と一言答えた。


「さっき嫌なことがあったって言っていたけどよければ話してくれない?話したくなかったら大丈夫だから」


乃愛の言葉に少しドキッとしたけれど話していいのかもしれないと思った。


「霜月さんが転校する前の話なんだけどね俺さ彼女に振られたんだそれも中々きつい振られ方でさもう忘れようと頑張ったんだけど霜月さんと出会った時、霜月さんの笑顔や雰囲気が似ていて苦しい気持ちになった」


乃愛は何も言わず静かに聞き、時々あいずちをうってくれた。


最後に俺は乃愛に対して八つ当たりをしたことを謝りその日は解散となった。



















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