第四話 金ぴかのトランペット

「めっちゃ、むかつくー」

転校生の少女は、ロープーウェイに変身させられた、僕の中で叫んだ。

綺麗な少女が、僕の中に居るって不思議な感覚だ。


1日で陸上部を辞め「吹奏楽部に転部したい」と担任に言っら、愚痴愚痴と説教されたらしい。


「憂さ晴らしに、山頂に行ってすっきりしたい」

と思った少女は、歩いて登るのが面倒だからって、通りすがりの僕を捕まえ、ロープーウェイに変身させた。


「元々ロープーウェイなんて無い登山道に、突然ロープーウエイが出来たら、目立つよ・・・」

「大丈夫、誰かに見つかっても、確かめようとした時には、もうロープーウェイは無いから」


山頂に着いて、今度はトランペットに変身させられた。


「人間に戻れる」と思ったのに・・・


トランペットになった僕に、彼女は口を着け息を吐いた。


これって初キス?


驚く僕の身体に、彼女の息が吹き込まれた。


彼女の息が僕の口から身体を抜けお尻の方へ、もしくはお尻から身体を抜け、口に・・・


トランペットになってしまった僕には、もう、どちらがどちらなのか解らなくなった。


口にしても、お尻にしたも、金ぴかのトランペットに違いないんだけど。


1時間ほど吹いていると、登ってきた登山客のグループが、


「ほらー、ロープーウェイなんて無いじゃん!

どっかの山と勘違いしてるんじゃない」

と言いながら山頂にやってきた。


そして、山頂でトランペットを吹く少女に足を止めた。


自分自身の状態が認識できない僕は混乱した。

「何、この辱め・・・いや・・・良いんだ。

喜んで貰えれば・・・あ・・でも、そこは押しちゃダメだって!」


そんな僕の叫びは、トランペットの美しい音色となって、観客を酔わせ、そして僕らは、山頂で拍手喝さいを浴びた。


「終わりよければ全てよしだよ」

少女は僕に囁いた。


少女の言葉に、僕は全く納得してなかったのだが。




つづく

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