第42話 粘液生成を極めろ!
休み明け、三人は好成績のまま過ごした。
オレは7戦6勝1敗と、負けたもののまだ6勝というクラスアップまで近づき、条件である勝率2割以上は保っているので充分である。
涼香は7戦7勝という、無敗という最速でクラスアップできそうだ。
この好成績から家族達は娘の活躍に歓喜してお祝いがあったと本人は苦笑いしていた。
縁は異闘に初挑戦ながら4戦4勝という無敗で済んだ。
しかし、本人は全然満足してなく体力の限界まで試合をしようとしていたので、さすがに二人で止めた。
このまま順調だったら、来年までにシニアクラスに上がれるであろう。
放課後、オレは調べ物をするために図書室に向かっていた。
隣には当然のように涼香も一緒に並んで歩く。
「ゆりちゃん、何を調べに図書室に行くの? 縁ちゃんはすぐに道場に向かったよ」
「あぁ、ちょっと生物図鑑を見たくてね」
「生物図鑑?」
「そう、あの子に戦って学んだよ」
彼女と戦っていた時、異能を使って多種多様な鉱物を生成していた。
特にマグネシウムを生成したとき、火付けや目潰しとして使ってたのは印象に残っていた。
もしかして、生成系の異能は
「なるほどねぇ~。 分かった! ゆりちゃんのために調べ物に付き合うよ!」
「最初から手伝うつもりだった癖に」
「そうだね。 最初から名に調べる必要があるのか知りたかったの」
「ありがとう、涼香」
「うん!」
涼香は笑顔で肯定した。
その太陽の様に明るい笑顔にドキッとしたのは内緒だ。
図書室に着くとすぐに生物カテゴリーの棚に向かい、目当ての図鑑を探す。
まずはすぐに粘液と思い当たるのは両生類だ。
その図鑑を取り出して、席に座り読み始める。
涼香は両生類図鑑とは別の水生生物の図鑑を持って、オレの隣に座り読み始める。
その時、椅子は触れる程に椅子を寄せて座ったためお互いに寄せ合う。
「色んな生物を見ると、分泌される粘液ってエグイ毒性ばかりだね……」
「防御本能ですし……、参考になりそうな特性を探さないとね」
「だね。 閉じるまで、まだ時間があるし探すか」
イモリやカエルといった両生類は皮膚に触れただけで重い症状になるため、すぐに候補から除外した。
次は昆虫を見ていくと蜘蛛のページに目に留まる。
成分や構造を頭に入れることで、より強度が増した粘液が生成できそうだ。
他にも、植物の図鑑を見れば粘液を使う植物が多く載っていた。
その中で注目したのは食虫植物だ。
捕まえたら逃さない程のネバネバがある粘着液が参考になる。
「参考に出来そうな粘液はあったけど、こう毒でも軽傷というか軽いダメージが欲しいなぁ……」
「う~ん。 軽度といっても嘔吐や腹痛でも即効性ないものね」
「神経毒に比べると軽度だと思うけど、別に軽度じゃないかね?」
「あはは。 でもさ、生成っていいっても結局は使用者のイメージでしょ?」
「そうだけど……」
「だったらさ、即効性の粘液毒の成分というか効力をかなり少なくイメージすればいいんじゃない?」
「それ、フグ毒のテトロドトキシンといった少量でも致死量があるんだよ、手軽にイメージ出来ないよ」
「だからこそ、調べないとね。 死なない程度に調節できれば、触れれば一発アウトな攻撃が出来るね」
「まさに必殺技か……。 涼香ってすごくエグイことを思いつくな……。 もう粘液毒を諦めて蜘蛛や粘着液で我慢しようと思ったのに」
「私も水生成あるじゃない? それって真水が生成するのか調べたことがあったの」
「結果はどうだった?」
「実験器具持ってないから分からなかった。 でも、飲料水としては出来そうだったけどね」
「結局はイメージか……」
その日は調べ物で少し遅れて道場に着き、稽古を始める。
組手の時に今回学んだ粘液を幾つか試験してみる。
涼香の言った通り、結局はイメージだったみたいで後遺症が無い程で動きを鈍らせるほどの毒や軽い炎症系の粘液を触手に纏わせて戦うと以前より戦局が有利になることが多くなった。
それに、蜘蛛といった毒性なくても構造をイメージして生成すれば以前よりも強度な粘液も出せるようになった。
この粘液毒を使えば、もしかしたら陽に勝てるかもしれないと思いつつ粘液生成の異能の練度を中心に上げるよう鍛え始める。
-------------------------------------------
あとがき
主人公、デバフ能力をゲットしました。
異闘の公式戦では、クラス問わず試合後は怪我などは完治します(痛覚はそのまま)
強い毒(致死量未満)に触れても、
ただし、致死量だった場合は……、ゲージがオーバーフローしますので反則ですね。
そこらへんは殺し合いではないので絶対に書きません。
何を言いたいかというと、現実は捨てて毒はスリップダメージorデバフと考えて下さい(笑)
作者のモチベの向上のため、「♡」、「★」と応援コメントを気軽にお願いします
m(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます