第17話 役目を終えて眠るはずが…

話はリンガイアの王であるリンゲイとその父であるリンドバーグが役目を終えてようやく死後の世界に行った頃まで遡る


死後の世界の入り口で彼らを待っていたのはリンゲイの妻のアリアとリンドバーグの母であるニルヴァーナであった



「お役目ご苦労様でしたリンゲイ様そしてお義父様」


「リンゲイ…リンドバーグもよくやくここに来れたのね」


2人から声をかけられたリンゲイとリンドバーグはそれぞれこう反応した


「アリア…迎えに来てくれたのか…それとお祖母様も」


「アリアさんと母上の2人に出迎えられるとは思って無かったな」



「さぁみんなが待っている場所に行きましょうか」


ニルヴァーナがそう言うとアリアは笑顔を見せながらこう続けた


「ふふ…きっとお2人とも驚かれますわ」



「みんな待ってるって…そしてこれから行くのは私達が驚くような場所なのか?」


リンゲイはリンドバーグと顔を見合わせて不思議そうな顔をした



案内されてたどり着いた場所は普通の賑やかな街であった


「ここが死者の世界?生きている頃とほとんど変わらないように見えるが…」


「ああ…普通に商店が軒を連ねて食事処もある…服や靴や雑貨を売ってる場所まであるじゃ無いか」



驚く2人にニルヴァーナはここでのルールを教えた


「ここでは何かの仕事をしないといけないのよ。そうじゃ無いと魂自体が消滅してしまって転生出来なくなるらしいの。転生するまで過ごす為の死者の街なのよ。それぞれの種族ごとに分かれて点在してるの」


それを聞いたリンドバーグは辺りを見回しながらこう言った


「なるほど…商人や冒険者以外は他の種族と接触する事はほぼ無いから混乱を避ける為なのですね」


「そうですね…偏見も少なからずあると思いますから」


アリアがそう付け加えた


「さて…貴方達にはどんな仕事が合うかしらね〜魔力を活かせるのが良いかしら?神様にも相談しないと」


「え?母上は仕事を斡旋しているのですか?」


リンドバーグがそう聞くとニルヴァーナは笑顔で答えた


「そうよ。それが私が人間の神様に与えられた仕事なのよ。貴方達が来たのを神様も感知したみたいね」


ニルヴァーナがそう言うと人間の神様が目の前に現れた


「うわっ!びっくりした〜!」


「この方が神様なのかい?」


2人ともそれぞれの反応を見せた


その様子に悪戯っ子のような笑顔の神様はこう告げた


「君達の適正を調べるから一緒について来てくれ。ニルヴァーナ…例の場所に行くよ」


「は〜い♪」



そして4人が来たのは『極楽亭』であった



中に入ると奥のテーブル席にリンダリアとダイダロスが仲良く酒を飲みながら料理に舌鼓を打っていた


「姉上とダイダロス様?」

「お2人が何故ここに?!」



4人に気づいた2人は笑顔で手招きしながら隣のテーブルに座るように促す


「今日は他の人に仕事任せて早上がりしたのよ〜貴方達が来るって聞かされたからね」


リンゲイとリンドバーグが神様とニルヴァーナの顔を見ると2人とも悪戯っ子のような顔をして満足げにしている


「まぁ…ここなら一部を貸してもらって適正を調べる事が出来るし美味い料理も食べられるから一石二鳥なんだよ」


ニルヴァーナは北川に今日のおすすめとおまかせ料理を注文した


神様はリンゲイとリンドバーグに手を翳して何かを読み取るように目を閉じてしばらく黙っている


「…うん…なるほど…この2人の魔力が活かせるか…」


神様はそう呟くと目を開いて2人をジッと見つめた


「私達に適した仕事はあるのですか?」


リンゲイがそう聞くと神様はニコリと笑顔を見せた


両性的な美しさのあるブロンドの長髪の神様に思わず見惚れる一同の元に料理を手にした北川と錦野がやって来て声をかけた


「今日のおすすめのホタテの貝焼きです。そしてこれはお刺身の盛り合わせと天ぷらの盛り合わせです。こちらのはワラスボの塩焼きです」


初めて目にする料理に少し戸惑いながらこれもまた初めて目にする箸の使い方を教わりながら口に運んだ


どれも美味しく一緒に出された日本酒や焼酎にとても合った


ワラスボは神様が北川に頼まれて作り出したもので日本の佐賀県の有明海に生息するエイリアンに見えるグロテスクな見た目だが塩焼きにすると青物の塩焼きのような香ばしい風味のあるものである


「うん!見た目とは裏腹に美味しいものなんだね〜ワラスボって!」


神様もご満悦の様子だ


「君達の仕事場になる場所には明日案内させるよ。住居も用意してあるからニルヴァーナに案内してもらうと良い」



そして翌日案内された場所は不思議な機械が並んだ場所だった


「ここは?」


「最近悪霊が街の近くに来るようになったからバリアで街を守る機械よ。動かすには魔力を使うようにしてあるの」


「リンガイアの結界装置のようなモノなのか…あれも動力源は魔力だったからな」



「貴方達にぴったりな仕事でしょ?神様がこの装置を使ったらしいわよ。貴方達に合わせて使いやすくなるように改造したって言ってたわね」


「そうなのか…魔力を与え続けないといけないのか?」



「いいえ〜リンガイアのと同様である程度の魔力を注げば一日中動く使用になってるわよ。だからその後は街を探索したり自由にして良いのよ」



「そ…そうなのか…そんなに楽しても良いのかな?」


リンゲイとリンドバーグは少し戸惑いを見せたがニルヴァーナが笑顔で大丈夫だと伝えるとホッとした表情を見せた


こうしてリンゲイとリンドバーグは結界装置の起動するエネルギーを魔力を使って補給する仕事に就くのだった

















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