第13話 父との再会

「え?今何と?」


「神様から直々に聞いたのよ!あの人がこっちに来る日が近いって」


興奮気味の母を宥めながら話を聞いていたリンダリアとダイダロスは父リンスロットが寿命を迎えこの死者の世界に来る事を聞いた


「それでは出迎える準備をしなくては」


「貴方達はこの町で待っていて…そうね〜『極楽亭』にあの人を連れてくるわ」



「わかりましたわ…お母様…興奮しすぎてお父様を驚かさないように気をつけてね」



そして数日後



「貴方…迎えに来ました」


母は父の枕元に降りて行き魂を連れてあの世へ戻って来た



「ここが死後の世界?どう見ても普通の町のように見えるが…」


「ええ…生まれ変わる時までここで暮らすのですよ。」


そして『極楽亭』にて再会を果たすのだった



「お父様…お疲れ様です。」


「リンスロット様こちらの席にお座り下さい」



リンダリアとダイダロスに出迎えられて戸惑いながらも椅子に座った



リンスロットは徐に自分の頬をつねるとこれが夢では無い事を悟った



「ここの料理は美味しいのよ!キタ〜今日のオススメお願いね♪」



しばらくして店主のキタこと北川尋が魚の塩焼き定食を持って来た



「見た事もない料理じゃのう…其方何処の出身じゃ?」



「私はここでは無い世界…地球と言う惑星の日本の出身です」



「チキュウ?ニホン?」



戸惑いを見せるリンスロットの元に神様がやって来た



「僕から説明するよ〜彼は事故死して本来の彼等が行くべき死後の世界と異なるこっちのこの場所に運ばれて来たらしいんだよね〜」


「彼等?」


「もう1人の従業員の錦野諭も同郷の幼馴染なんだってさ」


「なるほど…この料理はそのチキュウのニホンの料理と言う訳か」


「気に入ってもらえると嬉しいのですが…」



お腹が空いてたのかリンスロットは無言で食べ進め完食していた


「美味かったのじゃ…初めて食べるのに何処か懐かしい感じがしたのう」


「ありがとうございます」



その後リンスロットは妻のニルヴァーナと共に死者を導く仕事を始めた



そして彼もまた極楽亭の常連になるのであった



今夜もまた常連客で賑わう店内は満席



美味しい創作和食が自慢の店では今日も北川尋と錦野諭が腕を振るっていた



あの世に開かれた居酒屋『極楽亭』



美味しそうな匂いに誘われて足を運ぶ人々



「其方達随分と仲が良いのだな?もしかしてそうゆう仲なのか?」


リンスロットが2人をそう言って揶揄うとすかさず北川がこう返した


「いえ…私はダイダロスさんの方が好みのタイプなんですけどね」


それを聞いたリンスロットは口に入れていた飲み物を吹き出してしまった


「なっ…何じゃと?」


北川はニヤリと笑い


「ほんの冗談ですよ!冗談」


北川のブラックジョークに翻弄されたリンスロットだった


その様子を錦野諭は呆れた様子で見ていた


「たくお前のブラックジョークはキツイんだよ昔から」


「今日も忙しくなるな…お?いらっしゃいませ〜お好きな席にお座り下さい」



今日も穏やかに過ぎていっていた



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